新星アコスタは、”MotoGPのフェルスタッペン”になるか。シーズン途中のKTM昇格はある?
シーズン途中のKTM昇格はあるのか?
では、実際KTMはシーズン途中のライダー入れ替えを実施できるのだろうか? レギュレーションに関しては、KTMがアコスタを昇格させ、ミラーかビンダーをGASGASに移籍させることを妨げるものは何も無い。 技術スタッフに関しても、GASGASのガレージでアコスタ側を管理しているのはファクトリーのスタッフなので、大きな問題にはならないだろう。彼らは赤色のポロシャツをオレンジに交換するだけでいい。 しかし商業的な都合や、個人的な関係を踏まえれば、KTMはアコスタに大きなチャンスを与えるのを、シーズン終了まで我慢することを余儀なくされるかもしれない。 それはアコスタをKTMに早期昇格させることによって、動揺する可能性がある人物が少なくともふたりいるからだ。 まずそのひとりはミラーだ。アコスタがKTMに移籍することになれば、彼がGASGASに降格する可能性が高いだろう。だがKTMのファクトリーチームもミラーのことを気に入っており、彼との2年契約は今季限りで満了となる。 つまり、もしスワップをするなら、ミラーとの関係を考慮し2025年まで待つ方がベターだと言えるだろう。 ライダー入れ替えによって関係悪化が懸念されるもうひとりの関係者は、テック3のオーナーであり、2006年からMotoGPチーム協会(IRTA)の会長を務めるエルヴェ・ポンシャラルだ。 彼はパドックで最も尊敬されている人物のひとりであり、誠実なチームのボスでもある。そのため、シーズンの途中でチームのラインアップを解体することは、特にスポンサーや商業的な約束の面で困難な状況を招く可能性がある。 とはいえ、MotoGPで最も重要なのは結果だ。感情に流されないレッドブルのメンタリティを理解することが重要だ。 KTMとGASGASのバイクを見比べてみれば、その一端が見えてくる。レッドブルはフェルナンデスとポル・エスパルガロを走らせていた2023年シーズン、GASGASのスポンサーを務めていなかった。 しかしアコスタの加入に伴い、今年からレッドブルがGASGASの主要なコマーシャル・パートナーとして復帰している。一方、契約金を実際に払っているKTMのロゴは、GASGASのマシンに掲出されていない。 歴史は繰り返すとはよく言ったものだ。次のMotoGP第4戦はスペインGP。ホルヘ・ロレンソは、ヘレスがペドロ・アコスタの最高峰クラス初優勝の舞台となるかもしれないと予想している。 今週末のスペインGPではライダー交代は起こらないだろうが、アコスタが優勝し、そのきっかけになる可能性は決して否定できないように思える。
German Garcia Casanovs