やられた…百戦錬磨の不動産会社社長が、タイの不動産売買でトラブルに巻き込まれた「まさかの顛末」
タイのコンドミニアムを買う目的にも変化が…
小峰:コンドミニアムを買う方もいらっしゃいますか? 永松:以前は、キャピタルゲイン(値上がり)狙いで購入される方が目立ちましたが、最近は「バンコクが気に入った」という理由で購入する方も増えてきました。さらに、アセットアロケーションの一環として、タイにも資産を持っておこうと考える方も増えてきています。 小峰:どれくらいのお値段でしょうか? 永松:BTSスクンビット線のアソーク駅~トンロー駅あたりがお勧めなのですが、新築の1ベッドルームで1,000万~1,250万バーツ(4,000~5,000万円)ぐらいです。
不動産のプロ、タイでトラブルに巻き込まれる
小峰:タイは安定成長している国ですから、安心してコンドミニアムを買えそうですね。 永松:ただ、注意は必要です。なにを隠そう、この私もトラブルに巻き込まれました。海沿いの保養地パタヤのコンドミニアムが1部屋1,500万円くらい、場所がいい割に安かったので購入したのですが、完成後、登記できないというのです。役所に提出していた計画ではコンドミニアム2棟だったのに、実際に作ったのはコンドミニアム1棟、ホテル1棟だったので、登記できないということでした。 小峰:いまさらですが、どうするべきだったのでしょうか? 永松:弁護士を入れて契約書や関連文書を確認していれば、トラブルを防げたはずです。お客さんが買うときは弁護士を入れて確認するのですが、今回は買うのが自分だったうえ、金額も小さかったので、弁護士の確認を省いたのが敗因です…。
有名デベロッパーでも安心できない
小峰:でも、そんなトラブルはそう多くないでしょう? 永松:いいえ。実はこうしたトラブルは少なくないのです。この手のトラブルに巻き込まれないようにするには、チェック体制の整った不動産会社が間に入るほうがよいのです。 小峰:なぜでしょうか? 永松:顧客が直接デベロッパーの事務所に行ってしまうと、「デベロッパーが直で見つけた顧客」として記録され、不動産会社が入ってチェックすることができません。「不動産会社を入れると負担が増す」と考える投資家の方もいらっしゃいますが、そんなことはないので、お声がけ頂ければと思います。 小峰:なるほど…。 【補足】改めて調べると、報道されている事例として以下のケースがありました。 ●JR九州とタイのデベロッパーのInspireが合弁でコンドミニアムを建設する予定だったが、Inspireが資金難で計画がストップしてしまった ●三井不動産とタイのデベロッパーのAnandaが合弁で、BTS(高架鉄道)と地下鉄の交差する最高の立地というべきアソークにコンドミニアムを建設したが、建物完成後、接道要件を満たしていないとして問題になり、現在も未解決 こうした事案が実際にあったことを踏まえると、永松社長の指摘されたように、購入前のチェックは必須と言えそうです。