カナダ西部で大規模な山火事、人気観光地ジャスパーの3分の1焼失
(ブルームバーグ): カナダ西部アルバータ州のリゾート地ジャスパーを襲った山火事被害の全容が明らかになりつつある。消防は、カナディアンロッキーの象徴的な国立公園を包み込んだ大規模火災の消火活動を続けている。
ジャスパー国立公園は26日、火災で町の約30%が破壊され、1113棟のうち358棟が焼失したと明らかにした。ただ、病院や救急サービス施設、学校、活動センター、廃水処理施設など重要なインフラは全て守られた。 アルバータ州のダニエル・スミス首相によると、住宅や商業施設への被害が最も大きかったのはジャスパーの西側だった。
スミス首相は26日のメディア向けブリーフィングで、「われわれにはまだ多くの仕事が残っており、この事態を乗り越える過程で多くの感情が湧き上がることだろう。特にジャスパーの住民にとってはそうだ」と語り、「火災がまだ収まっておらず、人々が戻るにはまだ安全ではないと留意することが重要だ」と付け加えた。
カナダ国立公園局によると、26日夜の雨が湿度の上昇と気温の低下をもたらし、消防士らの負担を幾らか軽減した。それでも、この地域では最大で風速30キロメートルの風が吹く見込みであり、制御不能となった火災の勢いをさらに強める恐れがある。
カナダ西部一帯が乾燥した気候だったため、同国立公園とその周辺で山火事は1週間もたたないうちに広がった。当局は火の手が22日に制御不能となった後、住民約2万5000人と公園を訪れていた人々を避難させた。火はその後拡大し、カナダで最も人口の多い都市であるトロントの半分超の面積にあたる360平方キロメートルを焼き尽くした。
ジャスパーの山火事による保険損失額は最大7億カナダ・ドル(780億円)に達する可能性があり、観光業からの請求額はさらに大きくなる恐れがあるとモーニングスターDBRSは26日のリポートで分析。平均を上回る山火事シーズンとなっているが、関連損失はカナダの損害保険各社にとってまだ対応可能な範囲だとした。