日銀・黒田総裁会見12月20日(全文1)景気は緩やかに拡大
イールドカーブのフラット化が経済・物価に悪影響を及ぼす可能性は?
記者1:【***キ00:21:06】です。2点ございます。1点目ですが、米国金利の先ほどお話がありました、低下を受けて、日本の長期金利も低下して、イールドカーブをフラットニングしています。日銀では過度なイールドカーブのフラット化が金融面への影響を通じて日本の経済活動に悪影響を及ぼすと、そのように以前分析されてると思うんですが、現在のイールドカーブのフラット化、もしくはさらなるフラット化というものが日本の経済・物価に悪影響を及ぼす可能性について、今の段階で総裁はどのようにお考えでしょうか。 黒田:2年少し前に、イールドカーブコントロールを導入したときに、その前に総括的に検証を行って、超長期等の金利があまり下がって、フラット化するのが必ずしも経済を押し上げ、物価安定目標を実現するために適切ではないので、適切なイールドカーブが実現されるようにやるということ。 それから今年の金融政策決定会合、7月の決定会合で、資産乖離についてより弾力的にするということで、特に10年物、長期国債の金利が今年の前半、やや非常に幅が狭いところで動き、しばしばその取り引きが成立しないということがあって、国際市場の機能度が低下しているように思われたので、もう少し幅広く経済・物価、金融情勢を反映して動くのが当然じゃないかということを申し上げたわけですね。 今の動きもそういう意味では非常に当然な話で、欧米の長期金利が下がる中で、日本の長期金利も下がっているということで、これ自体は別になんら問題にするところではないと思いますので、さっき言った10年物国債の操作目標はゼロ%程度っていうのはまったく変わらないわけですし、その変動幅を従来のようにあまりに狭い中でやることは、マーケットの機能度の面で、問題があるので、もう少し幅広い中で、経済物価金融情勢を反映して変動することは当然認める、当たり前っていうことですので、私自身は今の変動自身は、そういった特に海外の長期金利の動向を反映して低下してるっていうこと自体は、別におかしいことでもなんでもないと、こういうふうに思っております。 記者1:すいません、2点目は物価なんですけれども、最近の原油価格の下落に加えて、今後、展望した場合の携帯電話料金の値下げとか、幼児教育の無償化とか、制度面を含めて物価を押し下げる要因が並んでいると思うのですが、こうした要因は一時的に物価を押し下げる反面、実質的な所得の増加をもたらすという面もあると思うのですが、こういった一連の物価押し下げ要因が、インフレ期待とか、そういった経済物価の見通しに与える影響というのはどういうふうにお考えでしょうか。 黒田:そこは基本的な考え方としては、原油価格とか携帯料金とか、あるいは幼児教育の無償化とか、そういったことは一時的なインパクトですから、われわれが基準にしている物価の基調がどうなのかということには、直接的には一時的な要因であるというふうに言っていいと思うんですけども。ただ、わが国の場合は、従来から申し上げているように、適合的期待による予想物価上昇率への影響というのがかなり大きいので、かつても2014年の夏ごろから2016年の初めに掛けて石油価格が110ドルぐらいから30ドル割るぐらいまで落ちたときに、実際の物価上昇率も落ち、そうした下で予想物価上昇率も下がってしまったことがあったわけですので、そういった点には十分注意していく必要があると思いますけども。携帯、あるいは無償化とかそういったこと自体は一時的なものであるし、おっしゃるように実質的な所得を引き上げるっていう面もあるでしょうから、消費に対してプラスになる面もあるかもしれませんね。 ただ、さっきも申し上げたように予想物価上昇率の動向にはやはり引き続き注視していきたいというふうに思ってます。 【書き起こし】日銀・黒田総裁会見(2018年12月20日) 全文2へ続く