エネルギー小国日本の選択(16) ── 原発推進を求める産業界
各電力は新たに安全対策を講じ、再稼働を目指した。初めて新規制基準に合格したのは九州電力の川内原発1号機(鹿児島県)で続いて2号機も合格、2015年に再稼働した。翌2016年には四国電力の伊方原発3号機(愛媛県)、2017年に関電の高浜3、4号機(福井県)が再稼働し、次々と運転実績が積み重なっている。さらに九電の玄海原発3、4号機(佐賀県)や関電の大飯原発3、4号機(福井県)、そして東電の柏崎刈羽原発6、7号機が規制委の審査に合格しており、再稼働の行方が注目される。 一方、膨らむ安全対策費と稼働後に見込まれる収益の採算性などから、廃炉にする選択も出てきている。震災後、日本原電の敦賀1号機(福井県)、関電の美浜原発1、2号機(福井県)、中国電力の島根原発1号機(島根県)、九電の玄海1号機の計5基が運転を断念して廃炉を決定、作業を進めている。 ただ、例外措置として、原則40年という運転期間を20年延長しようとする原発もある。関電が高浜1、2号機と美浜3号機でいずれも申請し、「延命」が認められた。2017年11月には日本原電が東海第2原発の運転延長を規制委に申請した。原発ごとに、続けるかやめるかを選択する時代に入ったとも言われる。 今回は原発に焦点を当ててきたが、電力各社は風力や太陽光といった再生可能エネルギーの導入も着実に進めてきた。特に2016年以降、電力の小売り全面自由化を受け、異業種とも電力同士とも競争するようになり、事業の多様化を図っている。 残る連載では、あらためて直近のエネルギーを取り巻く動向に触れつつ、今後の展望を考えてみたい。