経済的DVの引き金になった「夫婦の共有口座」。妻の給与は没収!夫は給与明細さえ見せず、共有口座の残高も秘密にする守銭奴ぶり
夫に夫婦の家計管理を任せた瞬間、モラハラの仮面が外れた
夫がモラハラだとわかっていたら結婚もしなかったし、共有口座にお金を入れることもしなかった、とRさんは振り返ります。 Rさんが小遣い5万円を引いた残りの金額を全て共有口座に入れると了承した途端、夫は優しいふりをする仮面を外したのです。 『優しさと思いやりを装った彼は別人のように変わり、その裏に広がるのは冷酷で傲慢なモラハラ夫そのものでした。 夫にとって共有口座が、私を支配し、コントロールするための手段だったのです』 自分の給与を誤魔化して共有口座に入れなければいいと思いもしたRさんですが、夫は給与明細を見せろと毎月給料日に凄むのだそうです。それを拒否すると「俺はお前の夫だ!俺がこの家庭のお金の管理をしているんだ。その夫に給与明細を見せられないのか!外で悪さでもしているのか!」と怒鳴り続けるので、その苦痛から逃れたくて、Rさんは給与明細を見せることになります。 そして夫は、明細額からRさんの小遣い5万円を引いた金額を一円単位まで指定し、夫の目の前でRさんにネットバンキングで共有口座へ移動させるように指示する……というやりとりが毎月の儀式となりました。 Rさんが徹底的に夫に反論し、夫婦のお金について話し合うことができればまだこの状態にはならなかったはずです。モラハラ夫は自分より気の強い女性は苦手なのです。でもRさんは争いが苦手、自分の気持ちよりも相手の気持ちを優先する、大きな声で怒鳴られると言い返すことができない女性だったので夫の言うことを受け入れてしまったのです。 モラハラ夫は脅す、蔑む、無視する、威嚇することで妻を自分のいいように操っていきます。Rさんは結婚生活当初は確かに生活費として夫に渡させる7万円で生活はできていたそうです。ですから夫に対してお金のことを言う機会がなかった上に、夫に逆らい文句を言われるのが怖くて何も言えずに夫の提案通りにしてしまったとおっしゃっています。 【前編】では、結婚するまでDVの影のなかった夫が、家計管理を掌握したとたんに豹変したという経緯を聞かせていただきました。 ▶つづきの【後編】では、妊娠出産育児を経て、さらに悪化する経済的DVの悲劇をお伝えします。
モラハラ/HSP専門カウンセラー 麻野祐香