時価総額1兆円超え「すき家」「はま寿司」を運営するゼンショーの世界戦略のカラクリ。日本の外食産業が世界の胃袋を掴んだ「仕入れ力」とは
「フード業界世界一」企業を目指すゼンショー
ゼンショーのように日本の飲食企業が世界進出を成功させるためには、他にも重要なポイントがあるという。 「日本国内の水準のクオリティを保ったまま運営しようとしたり、日本のマニュアルをほぼそのまま流用しようとしたりすると、うまくいかずに瓦解するケースが多いようです。ですから臨機応変な経営判断をしつつ、すき家のようにその国の食材に合わせたメニューづくりやアレンジ力、チップ文化といったその国の風習に合わせた方法など、その地域に馴染ませながらも、いかに独自性を持たせていくのかが重要になるでしょう」 最後に、ゼンショーの今後の展望について見解を聞こう。 「ゼンショーの公式サイトに掲載されている企業理念によると、『世界中の人々に安心でおいしい食を手軽な価格で提供する』と記載があります。日本で天下を取ることは単なる通過点に過ぎず、世界の食事情を変えることのできるシステムと資本力を持った『フード業世界一』企業となることを目指している、とのことです。 ゼンショーは現在、世界的に見ると展開地域が限られているので、今後は未展開地域に攻め入り、さらに自らの立ち位置作っていくのだと考えられます。牛丼や持ち帰り寿司、うどんなど、中価格帯の商品で勝負し、ゼンショーにとって必要なグループを吸収していくという現在の経営方針でいけば、食のグローバル企業として世界に名を馳せることは十分可能でしょう」 取材・文/逢ヶ瀬十吾(A4studio) 写真/shutterstock