「アメリカ二大政党制の岐路」(2)民主・共和両党の「リベラル」「保守」分極化 上智大学教授・前嶋和弘
「見せる政治」の背景にはCNNに代表されるような、CATV・衛星放送の24時間ニュース専門局が視聴されるようになった事実があります。また、最近では、テレビに加えて、インターネットのソーシャルメディアを使った相手への攻撃も常套手段となっています。いずれにしろ、「敵か味方か」の二元論で政策を論じれば、民主・共和両党の間での妥協が難しくなるのはいうまでもありません。
困難になった「超党派」による妥協
このようにして、1980年代初期くらいまでは政策的にかなり重なる部分があった民主党と共和党は、イデオロギー的には乖離していきます。主要な法案の賛否については、いまでは日本のような議院内閣制の国のように、9割近くが自分の政党と同調することが一般的です。さらに、上院では、対立党を止めるためのフィリバスター(議事妨害)も頻繁に使われるようになっています。 超党派の妥協が難しくなった当然の帰結が「動かない政治」に他なりません。それでは、国民はこの膠着状態をどう見ているでしょうか。もちろん否定的です。これについては3回目に触れようと思います。