岩谷堂箪笥が映画“出演” 楡さん(一関出身)原作「サンセット・サンライズ」
奥州の生産組合協力「全国発信機会に」
奥州市の伝統工芸品の岩谷堂箪笥(たんす)2本が、2025年1月17日公開の映画「サンセット・サンライズ」に“出演”する。三陸を舞台にした菅田将暉さん主演の話題作で、岩谷堂箪笥生産協同組合が撮影に協力した。八重樫新也理事長(53)は「岩谷堂箪笥を全国に知ってもらう機会にしたい」と意気込む。 同映画は、一関市出身の楡周平さんによる同名小説が原作。コロナ禍を機に東京から南三陸に移住した釣り好きの青年が、住民との交流を通して、地方の過疎化や震災と向き合う姿が描かれる。監督は岸善幸さん、脚本は宮藤官九郎さんで、菅田さんのほか、井上真央さん、中村雅俊さん、小日向文世さんらが出演。ロケは昨秋に大船渡市や宮城県気仙沼市で行われた。 25日に奥州市役所江刺総合支所で発表会が開かれ、八重樫理事長らがいきさつを説明。23年7月に同映画の担当者から問い合わせがあり、箪笥2本を劇中に使用することを快諾した。 使用された箪笥のうち1本は、大正時代に制作されたもので、同市江刺米里の旧旅館で長年使用され、同組合の加盟社が引き取った。もう1本は同組合の職人が施した新しい箪笥で、ともに同じ寸法。「公開前なので詳細は明かすことはできないが、映画の重要な場面で登場する」(同組合)という。 映画には平泉町の翁知屋が制作した漆器「秀衡塗」のわんも登場する。佐々木優弥社長(46)は「小説にも描かれており、映画に登場することで秀衡塗のPRになれば」と期待する。