新型コロナ専門家会議 脇田座長らが会見(全文2)実効再生産数が明確に減少
リンクの追えない感染者がいる
ご覧いただければ分かると思うんですけども、当初、北海道でリンクの追えない感染者が多かったという状況が続いていて、その後、2週前、その前からでしょうかね。都市部でリンクの追えない感染者が、無視できない程度の数がいる、それが増加している場合は大変憂慮すべき状態にあると考えられるものです。 7ページをご覧ください。図4は国別、報告日別で見たときの新規の死亡者数を検討した結果です。皆さんご存じのとおりでイランや、あるいはイタリアで大規模の流行が起こっていて、相当数の死者数が確認されていますけれども、日本でも死亡者数が微増しているのが見て取れると思います。ただ、顕著で異常な大規模な増加にはまだ至っていないというのがこちらで見て取っていただけるかと思います。 8ページをご覧ください。図5です。国別の累積感染者数、累積っていうのはこれまでの感染者数をトータルで取ったものですけれども、その推移を検討したものです。皆さん、見て取っていただけるんですけど、イタリアで大規模な流行が起こって、そのあと欧州の各国で、それに引き続くように感染者数の指数関数的な増加が見られています。スペイン、ドイツ、フランス、それぞれ似たような指数関数的な感染者の増殖率で、だいたい2、3日に1回、感染者が倍増するペースで、流行が拡大しています。 一方で、日本とシンガポールが横に伸びている、増殖度の遅い状態です。大規模な流行っていうのがまだ起こっていないというだけと評価をしています。だいたいその倍増する時間は、欧州のそれが2、3日に1回なのに対して、日本でだいたい10日に1回程度で倍増しています。ただ、このまま感染者の増加を許すと、いつか欧州と同様に、指数関数的な増殖が認められるリスクがないわけではありません。
オーバーシュートを避けることが大事
9ページをご覧ください。図6です。これはドイツで大規模な流行が起こっていることを受けて、大規模流行時に1つの都市部などで想定される10万人当たりの新規感染者数と重篤患者数に関して計算を、シミュレーションをしたものです。左側の図が新規感染者数。1日当たりに新たに感染する感染者数をそれぞれの年齢群別に検討したものです。先ほど尾身先生からドイツ並みと説明いただきましたけども、基本再生産数が、だいたいドイツで推定したものが2.5程度なんですが、それを基に、流行が起こってしまったという場合には、流行50日目にピークを迎えるような、大変急峻な流行曲線が見られることが危惧されます。成人の感染者が最も多くて、高齢者がそれに続く。だいたい50日でピークになる。 右側の図が重篤患者といって、呼吸管理あるいは全身管理を必要とする者の数を10万人当たりで計算したものです。横に真っすぐ引いている赤い線が、日本で10万人当たりで許容されるという集中治療で人工呼吸器、アベイラブルな数を示しています。縦軸の解釈というのは時点の患者数で、ある流行時刻で、特定の日付に、重篤な患者数で、呼吸管理、全身管理が必要な人がどれくらいの数がいるのかということなんですけど、10万人当たり200人を超える高齢者の重篤患者が出ると想定され、それがだいたい流行時刻でいうと62日目ぐらいにピークを迎えます。それはICUの入床可能な、人工呼吸器の使用可能なキャパシティーというのを超えてしまうということが想定されます。 もちろん、これは仮想的な想定によるシミュレーションなんですけれども、今ヨーロッパで起こっているということは目を覆いたくなるようなシビアな状態であるということを、まず私たちは理解しないといけないので、こういった数値計算を出させていただきました。こういった状況が生じないように、これから公衆衛生学的な対策を講じることで、オーバーシュートを避けるということが大事であるということが、皆さん、これでご理解いただけるかと思います。図の説明は以上です。 脇田:ありがとうございます。説明は以上なんですけども、今日は専門家会議のメンバーから防衛医科大学の川名教授にも参加していただいておりますので、臨床的なご質問は川名先生がお答えしていただけると思います。それではお願いします。