子育てとキャリアの両立は可能? 子連れファッションデザイナーたちの挑戦
ジョン・ロシャとシモーネ・ロシャのデザイナー親子、あるいはヴィクトリア・ベッカムを見ればわかるように、多くのデザイナーにとって、ファッションはファミリービジネスだ(ベッカム家全員が彼女を応援するために集まるのはファッションウィークの風物詩だ)。先月にはニューヨーク・ファッション・ウィークを娘たちと迎える様子を映したジョゼフ・アルチュザラの動画がTikTokで話題になった。親としての役割と彼らのビジネスは融合しており、そのため子どもの誕生後にニットカーディガンのコレクションを発表した「シュリンプス(Shrimps)」のハンナ・ウェイランドのように、親になってから子ども服の分野に足を踏み入れるデザイナーも多い。
2010年代半ばには、Aリストの母親たちがまるでアクセサリーのように、フロントロウの連れとして子どもたちを同伴していた時代があった(2015年の「イージー(Yeezy)」のショーで隣に座ったノース・ウェストのかんしゃくに冷ややかな態度をとったアナ・ウィンターの姿は決して忘れられない)。今年1月のオートクチュールでは「スキャパレリ」がロボットの赤ちゃんを抱いたモデルを登場させ、このことを遊び心たっぷりに揶揄している。しかし、今回のデザイナーがわが子を仕事場に連れてくるという新たな潮流は、母性についての二つの、共存しながらも矛盾した事柄を浮き彫りにしているだけだ。それはすなわち、「母親業は私たちの人生のすべてでありながら、同時にしかし、私たちの人生のすべてではない」ということだ。今回のファッションウィークに子どもたちを目に見える形で出席させたことで、ゴダードとカマリの母親業とキャリアという二つの役割への献身的な姿勢が称賛され、ファッション業界の内外で働く女性たちの母親業がどうすればよりたやすくなるかについて、人々の会話が促進されることを願っている。 Translation & Text : Naoko Ogata