子育てとキャリアの両立は可能? 子連れファッションデザイナーたちの挑戦
先月行われたロンドン・ファッション・ウィーク。「モリー ゴダード」の2024-25年秋冬コレクションの最前列で最も目立っていたゲストは、Netflixの若手俳優でもTikTokの新進スターでもなく、彼女の生後11週の娘だった。父親の胸に(もちろん「アーティポッペ(Artipoppe)」の抱っこひもで)抱かれ、ひっそりと眠っている彼女の存在は、ゴダードが産後12週未満にも関わらずファッションショーを行っていることを私たちに痛烈に知らしめるものだった。 【写真】BLACKPINK リサ&ジェニーや広瀬すずほか、華麗セレブが来場! 2024-25秋冬パリコレのフロントロウを総覧
2週間後、今度はパリ・ファッション・ウィークで「クロエ」の新クリエイティブディレクター、チェメナ・カマリと彼女の子どもたちに注目が集まった。ショーの最後、カマリがあいさつに登場すると、彼女の2人の息子のうちの1人が母親を応援するために最前列から飛び出してきた。「ショーの後のバックステージでカマリが息子さんと甘いひとときを過ごしているのを見ました」とテレグラフ紙のファッションディレクター、ベサン・ホルトは語った。「息子さんはなぜ彼女がいつも仕事をしているのか分かったと彼女に話したらしく、それがとてもうれしかったと語っていました」
ゴダードやカマリのショーに赤ちゃんや未就学児が登場することは、働く母親たちには依然として「すべてを手に入れなくてはならない」というプレッシャーがあることを物語っている。しかし同時に、ファッション業界における“母親の可視化”という点で、ゴダードとカマリは非常に例外的だ。彼女たちの子どもの存在は、パートナーや雇用主からの適切なサポートがあれば、女性は母親業とキャリアを両立させることが可能であるということを私たちに思い出させてくれる。
「プロとしてその分野のトップに立つ女性たちが子どもがいるという事実を公表し、それを積極的に肯定することは、とても大きな力になります」と、ニュースレター「MUMISH」の著者フランキー・グラドンは言う。「これは、子どもを産んだとしても、彼女たちに才能と能力があることは変わりなく、決して見過ごされたり軽視されたりするべきではない、という宣言として機能します。そういったことはあまりにも頻繁に起きているのです」