返還から25年、習近平主席がマカオに求める「カジノ依存」からの脱却
香港とマカオは、言ってみれば中国という父親にとって、2人の息子のようなものだ。1997年に生まれた(植民地にしていたイギリスから返還された)長男(香港)は、頭脳明晰で体力も漲(みなぎ)っているものの、「不肖の息子」。父親の言うことにいちいち反抗するし、不良たち(英米)との付き合いもやめない。そこでこの5年ほど、ガツンと体罰を与え、厳格な家訓も定めたら、ようやくおとなしくなった。 【写真】カジノのネオンがきらめくマカオの夜景。大きく「Sands」の文字も 一方、1999年生まれ(植民地にしていたポルトガルから中国に返還)の次男(マカオ)は、長男に較べるとややひ弱だが、父親に従順な孝行息子で優等生だ。だから父親は、次男が愛(いと)おしくて仕方ない。次男も不良との付き合い(米資本のカジノ)はあるものの、いつか手を切らせようと思っている――。 そんなマカオの中国返還25周年と、マカオ特別行政区第6期政府就任の式典が、12月20日にマカオドーム(東亜運動会体育館)で開かれた。北京から習近平国家主席も、5年ぶりに訪れた(18日~20日)。 香港の仰々しいコンベンションセンター(会議展覧中心)に較べると、何とも簡素な体育館で微笑ましい。第6代の岑浩輝(サン・ホウファイ)マカオ行政長官以下、マカオ特別行政区政府の幹部たちは緊張の面持ちだが、習主席はいつになくリラックスした表情だ。
ちなみに、マカオの幹部たちが習主席に向かって宣誓して就任するこの儀式は、「監誓」(ジエンシー)と呼ぶ。中国政府が「宣誓を監督する」のだ。 ■ 習主席が強調「経済の多元的発展を」 習近平主席は、「監誓」の「締め」として、例によって約30分に及ぶ長い「重要講話」を述べた。その要点は以下の通りだ。 「マカオが祖国に戻って25年というもの、中央政府と祖国の内地の大きな支持の下、(マカオ)特別行政区政府は団結し、社会各界のたゆまぬ奮闘を率いて、マカオの特色ある『一国二制度』の実践に、巨大な成功を収めてきた。『愛国者がマカオを治める』原則を全面的に実行してきたのだ。 2023年の地域のGDPは返還前の7倍になり、一人当たりのGDPは世界のトップクラスだ。国家の発展の大局を主導的に受け入れ、ハイレベルの『一帯一路』と『グレーターベイエリア』(粤港澳大湾区=広東省・香港・マカオの一体化)建設に、積極的に参加してきた。横琴(ハンチン)の広東省・マカオ協力地域の建設もしっかり推進しており、発展の余地は大きく開けてきた。 今後の一定期間は、中国式現代化による強国建設と民族復興の偉業を全面的に推進していく大事な時期であり、『一国二制度』の実践も新たな段階に入っていく。香港とマカオをよりよく発展させ、強国建設と民族復興に大きな貢献を果たすことは、(習近平)新時代の『一国二制度』実践の重要な使命だ。ここで4点の希望を提起したい。