年末ボクシング7大世界戦。名勝負になりそうなカードはどれ?
日本ボクシング界の年末恒例行事となってきた7大世界戦が、いよいよ明日からスタートする。別表のように30、31日と、東京、岐阜、京都と日本列島を縦断しての大イベント。直接会場でライブ感を味わいたい派のファンにとっては、財布がからっぽになって、とても“はしご”は難しいだろうが、テレビ観戦派にとっては、おおいにボクシングを堪能できる年末となりそうだ。では、7大世界戦の、どの試合が最も予想が難しくスリリングになるのか。どの試合が名勝負になるのだろう。 ボクシングの世界ベルトは、当然、守るよりも奪うほうが難しい。日本で世界4団体のベルト挑戦が可能になってから、その難易度は落ちたといえど、世界の舞台を作るまでの陣営の苦労も含めて頂点に立つのは容易ではない。そして防衛戦も相手を選べない指名試合や統一戦となると話は違ってくる。 今回の7つの世界戦で、挑戦となるのが、リベンジマッチとなる内山高志(37、ワタナベ)のWBA世界Sフェザー級戦、今年7月に和氣慎吾(29、古口)の顔面が変形するほどボコボコにした22勝全KO勝ちの無敗の強打者、IBF世界スーパーバンタム級王者、ジョナタン・グスマン(27、ドミニカ)に挑戦する小国以載(28、角海老宝石)の2人。2階級制覇を狙う田中恒成(21、畑中)のWBO世界ライトフライ級戦も王座決定戦だが、挑戦の範疇に入るだろう。一方、防衛戦で指名試合となるのは、井岡一翔(27、井岡)の4度目の防衛戦。同級暫定王者で1位のスタンプ・キャットニワット(18、タイ)を京都で迎え撃つ。 この4試合で展望が読めないのは内山と田中の2試合だろう。 THE PAGEとしては、スリリング度ナンバーワンの試合には、大晦日の内山のリベンジ戦を推す。4月の12度目の防衛戦で、暫定王者のジェスエル・コラレス(27、パナマ)に、2ラウンドにまさかのTKO負けを喫して、プロ26戦目にして初黒星を味わった。この日、調印式に出席した内山は、「とにかくリベンジの気持ちだけが強い。勝つことだけに全パワーを注ぐ」と、気持ちを高ぶらせた。 元WBA世界Sフライ級王者の飯田覚士氏も、注目の世界戦のひとつに、地元岐阜の後輩、田中恒成の王座決定戦と共に、この内山の試合を挙げた。 「皆さん、心配、不安と言いますが、僕はまったく心配はしていません。内山が、通常の力を出せば負けないでしょう。前回の試合は集中力がなく60パーセントくらいの力しか出せずに終わりました。とくに離れ際、下がるときに、ふわっと気がぬけたような状態でガードも下がっていてカウンターをもらっていました。とてもボクシングが雑に見えました。モチベーション高く、集中力を保てれば、ああいうミスはしないでしょう。6ラウンドまでにKOシーンが見れると予想します。ただ怖いのは、コラレスが足を使って、無理をせず前に出てこないこと。王者らしい、ずるがしこいボクシングをされて、追いかける内山が、つかまえきれずにズルズルというパターンになるのが危険ですね」