多様性の尊重と合意形成をどう実現?「社会の分断」に打つ手はあるのか 自民党総裁選で9人の候補者が議論
■小林氏「無意識の思い込みがある。もっと対話を」
小林鷹之前経済安保担当大臣は、子育て中の勤務を引き合いに出し、「制度と風土の両面から捉えるべきだ」と指摘する。制度としては「子どもが熱を出した時、カバーする人に過重な負担がかからないように、勤務間のインターバルを取る」などが考えられる。風土には「無意識の思い込み」があると指摘する。「仕事を誰が代わるのか。独身やベテランでも、予定があるかもしれない。大切なのは法律ではなく、企業内でもっと対話をすることだ」。
■上川氏「いったん決めた法律であってもまた見直しができる」
上川陽子外務大臣は、「民主主義の基本は、法律を作ること」だと説明する。「賛否の議論を戦わせながら、一定のところで多数決で採決する。だが、いったん決めた法律であってもまた見直しができる。時代の変化で再検証して、法改正していく。絶えず検証を続けて、良いものにしていく努力が大事だ」。
■河野氏「ネットの議論と人格が一致していることが非常に多い」
河野太郎デジタル大臣は、「ネットの議論と人格が一致していることが非常に多い」と危機感を覚えている。「人格批判になると、まともな議論にならない。投稿者のプロフィールを見ると大学教授も多く、見た学生が『教授が罵倒するなら、自分もやっていいのか』となってしまう。議論と人格を分けるディベートの前提ができていないのが、日本のネットの現状だ」。
■小泉氏「若い人にはコーチングが大事。我々には人生の道しるべを示す人がいた」
小泉進次郎元環境大臣は、自民党の雰囲気として、「政策が一致しないことが、人格の全否定につながらない」点を挙げる。「若い人にはコーチングが大事。我々には教師や親、兄弟、地域の誰かなど、人生の道しるべを示す人がいたが、コミュニティーが希薄になっている。多様な人材が学校に入り、多様な質を確保できるように、抜本的な教育改革が必要だ」。
■加藤氏「コミュニティーが大事。若者に集まって発信してもらいたい」
加藤勝信元官房長官は、「コミュニティーが大事だ」と述べる。「親子や友達関係、『隣のおじさん』のような斜めの関係も大切だが、そうした場がなくなっている」。いわゆる“子ども食堂”を例に出し、「最初は子どもたちだけでも、次第に地域の人が集まり、若者も入ってきて、年代が関係なくなっていく。議論に若者を入れるのではなく、若者に集まって発信してもらいたい。そして政治が身近になっていくのが大事だ」。