母を探して…迷子のマンモス、軽トラで仙台市内を巡回中
仙台市内を、わらでできた「子マンモス」が軽トラに乗って走り回っている(安藤歩美撮影)
仙台市民待望の市営地下鉄東西線開通まで10日となり、仙台市内ではさまざまな記念イベントが催されている。新たに5つの駅が設置される仙台市若林区では記念企画として、稲わらで作られた高さ約1・4メートルの「子マンモス」が市内のさまざまな場所に出現している。 今月6日、仙台市若林区卸町。目の前の車道を、軽トラックに乗った「子マンモス」が通り過ぎていった。その珍しい光景に驚き、路肩に車を止めて「子マンモス」を眺める人の姿もあった。
若林区は東西線開通を、「わらアート」による「空想動物園」で祝う計画だ。若林区に新設される「荒井駅」は東西線の東端に位置し、西端に「八木山動物公園駅」があることに対抗したという。12月6日の開通日、区内に新設される「荒井駅」には高さ約5メートルの「親マンモス」や「トリケラトプス」、「卸町駅」には架空の動物「オロッシー」のわらアートが出現する予定だ。 軽トラックに乗った「子マンモス」は、この「親マンモス」を探して市内で迷子になっているという設定だ。「子マンモス」は東西線の開通日まで、車で市内各地を走り周ったり、区役所や地域のお祭りに置かれたりしている。12月6日の荒井駅での東西線開通記念式典で「親マンモス」と感動の対面を果たす予定といい、若林区まちづくり協議会の担当者は「市内で子マンモス君を見かけたら、12月6日に荒井駅に行けばお母さんと会えるよ、と声をかけてあげて」と話す。
仙台市若林区は東日本大震災の津波で面積の約6割が浸水し、沿岸部の豊かな田園地帯も壊滅的被害を受けた。震災直後は塩害で作物が獲れなかったが、震災から4年8カ月が経過し、農地はたくさんの稲が実るまでに復活してきている。担当者は「稲わらを使ったわらアートに、若林区の復興の象徴としての意味を込めた」と語る。 「子マンモス」をはじめとしたわらアートは、地域の小学生や大学生ら多くの住民のボランティアの手で作られ、住民は東西線開通の日を心待ちにしている。荒井駅では、開通日12月6日の10時50分から式典が開かれ、地域伝統の「すずめ踊り」や和太鼓の演奏が予定されている。荒井駅と卸町駅でのわらアートの展示は、12月6日から20日まで。 (安藤歩美/THE EAST TIMES)