テイラー・スウィフト 効果で話題に。 「友情ブレスレット」ビジネスを支える強力なコミュニティ
確かに、テイラー・スウィフトの「ユーア・オン・ユア・オウン、キッド(You're on your own, kid)」という楽曲のおかげで、フレンドシップ・ブレスレット(友情のしるしとしてある人から別の人に贈る組み紐の装飾用ブレスレット)は人気になった。しかし、リトルワーズプロジェクト(Little Words Project)は、スウィフティーズ(スウィフトのファン)がこぞってフレンドシップ・ブレスレットを身につけるよりずっと前から、フレンドシップ・ブレスレットを作っていた。 リトルワーズプロジェクトは2013年、創設者であるアドリアナ・キャリグ氏のいわば副業として設立された。しかし、このプロジェクトはほどなくして独立したビジネスになった。現在、リトルワーズプロジェクトは米国で12店舗を展開して利益を上げており、収益ランレート(将来予測値)は2000万ドル(約30億円)を超える。 キャリグ氏は2月下旬のモダンリテールポッドキャストに登場し、ブランドの歩みと、今後1年間、何に注力するつもりかについて語った。 キャリグ氏によると、リトルワーズプロジェクトのこれまでの成功はコミュニティのおかげだという。初期の頃、キャリグ氏は(加工された写真や美化されたインフルエンサーでごった返す前の)インスタグラムに、ビジネスの内容や、ビジネスを成長させている様子について投稿していた。 「ただ我々のコミュニティと一緒にここまで来ただけのことだ。それは間違いなく、コミュニティの最終形の基礎となった。つまり、落ち込んだときに互いに支え合い、助け合おうとする友人グループのようだった」。 オンラインコミュニティをはじめるのは簡単だが、ビジネスが成長すると、それを常に第一線で維持し続けることが難しくなる。たとえば、2022年にリトルワーズプロジェクトはD2Cという枠を超えて、ターゲット(Target)などの大型小売店に展開をはじめた。 「大型店の話や、コミュニティの構築を維持する方法に関していうなら、コミュニティの概念を第一に考えて意思決定をするということに尽きる」とキャリグ氏は話す。つまり、何年ものあいだオンラインで行ってきた方法と同じようにリトルワーズプロジェクトを販売できるようにするのと同時に、商品を同じ価格帯に保つということだ。キャリグ氏は表舞台から身を引き、ブランドの看板にはならないつもりでいたが、今は「最前線に立ちたい」と考えている。 これはテイラー・スウィフトの楽曲のように、商品がバイラル化したときも例外ではない。フレンドシップ・ブレスレットは、スウィフトのファンがエラズ・ツアーコンサート(Eras tour concerts)中に互いにプレゼントしはじめてから、昨夏もっともホットなアクセサリーのひとつになった。 しかしキャリグ氏によると、ほかのブランドがスウィフトの熱狂の波に乗ろうとバイラル化を狙った新商品を作る一方で、リトルワーズプロジェクトは何も変えなかったという。それでも、トレンドに飛びついたばかりのブランドと比べて、より大々的にこの熱狂の一員となっていた。ミュージシャンのランス・バスは、昨年のVMAのステージ上で、リトルワーズプロジェクトのフレンドシップ・ブレスレットの山をテイラー・スウィフトに贈った。 だがキャリグ氏によると、スウィフトの助けがあったとしてもその影響はごくわずかで、ビジネスは順調だったという。「コレクションによる売上増は1%にも満たなかった。ブランド全体の存在感からすれば、たいしたことはない」と同氏は話す。「またこれにより、リトルワーズプロジェクトはテイラー(効果)以前から勢いがあったことがわかるだろう。テイラーにあやかろうとしたほかのブランドは、おそらく、いつもの商品群とは無関係に節操なく稼いでいるので、売上がより大きく増えたかもしれない」。 以下に、読みやすさのために若干編集したポッドキャストからのハイライトを紹介する。 Subscribe: Apple Podcasts | Google Play | Spotify