東京五輪U-24代表“キーマン”三笘薫は久保建英と一体どんなハーモニーを前線で奏でるつもりなのか?
バルセロナの下部組織の入団テストに合格し、10歳の夏にスペインへ渡るまで、久保は川崎の下部組織に所属していた。そして、三笘もまた小学生年代から高校年代のU-18まで川崎で心技体を磨いた。同じカテゴリーになったことはないが、それでも久保の存在は覚えているという。 「久保選手が小学生のときに一度、ジュニアユースとジュニアでプレーしたことがあります。すごく小さくて上手いな、という記憶がちょっとあります。一緒にトレーニングをしたことはあるので、そういったところでコミュニケーションはすごく取りやすいですし、前線の選手同士なので、上手く連携していけばチームの力になれると思っています」 久保を含めた東京五輪世代を中心とするチーム編成で戦った2019年6月のコパ・アメリカと、ヨーロッパ組を含めた東京五輪世代のベストの陣容で臨んだ、現時点で最後の一戦となっている同年11月のU-22コロンビア代表戦に、当時大学4年生だった三笘はともに招集されていない。 そして、川崎で急成長を遂げた昨年7月のシーズン再開後は、新型コロナウイルス禍でU-23になった代表チームそのものの活動が停止となった。国内組だけを対象として年末に実施されたU-23代表候補合宿へも、天皇杯で準決勝に出場していた関係で三笘を含めた川崎勢は呼ばれていない。 今夏への開催延期とともに、U-24代表にあらためられた東京五輪世代の初陣となる強豪アルゼンチン代表戦へ、実績を介して得た自信を引っさげ、満を持して招集された三笘は決意を新たにする。 「僕のプレースタイル的に、周りのサポートがなくても突破できるところが特長なので、そこを上手く出せればチームの力になれる。もちろん周りの選手たちのクオリティーもすごく高いので、特長をしっかりと理解して生かす側にもなりたい。上手く練習のなかでコミュニケーションを取っていきたい」 クオリティーの高い選手たちのなかに久保がいる。主戦システムの[3-4-2-1]ならダブルシャドーで、昨年末から導入された[4-2-3-1]なら2列目でそれぞれプレーでき、前者のシステムではドリブル能力を生かすために三笘が左ウイングバックに回る形も考えられる。初共演でどのようなハーモニーが奏でられるかが、約4ヵ月後に迫った東京五輪での攻撃力をもうらなっていく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)