ロシアによるウクライナ侵略で「ゲームチェンジャー」になり得るのは兵器ではなく「能力」 専門家が指摘
相次いで早期警戒機を失ったロシア軍
飯田)ロシアの早期警戒機がかなり落とされているという報道もあります。航空戦力を出すと、早期警戒機を置いて指揮しなくてはならず、リスクが高まるのでしょうか? 小泉)ロシアの場合、早期警戒機は「防空軍」という、空軍とは別の軍種が運用していたのです。 飯田)早期警戒機は言わば「空飛ぶ管制塔」のようなイメージでいいのでしょうか? 小泉)アメリカではそういうイメージで、「早期警戒管制機(AWACS)」と呼ばれています。ところが、かつてのソ連軍の運用方法は「空飛ぶ警戒レーダー」でしかなかったようなのです。さらにネットワーク化して、幅広く味方の航空部隊を指揮するような機能が一部、迎撃戦闘機に関してはあったそうですが、米軍のように幅広く航空作戦の指揮をするつもりはなかったと考えられています。(ロシアの)「A50」は、「A-50U」というタイプに近代化改修されていますので、ある程度の幅広い指揮能力は持っていると思いますが、NATOの軍人たちが想像するようなものではないかも知れません。 飯田)そうなのですね。 小泉)どちらにしても(早期警戒機は)遠くまでよく見えるので、相次いで2機も撃墜され、迂闊に戦場へ近付けないのは不利ですよね。
2機目がどのように撃墜されたのかはよくわからない
飯田)ロシアはそんな虎の子の機体を、よく防空ミサイルの射程圏内まで入れたなと思うのですが、あれは射程外だったのでしょうか? 小泉)ロシア軍としては射程外という認識だったのだと思います。ただ報道によると、ウクライナはソ連時代の「S200」という、古いけれど射程が長いミサイルを引っ張り出してきて、撃ち落としたらしいのです。これまでロシアの早期警戒機は2機落とされていますが、1機目はおそらくそのような理由で落ちたのだと思います。ただ2機目のときは警戒して、ウクライナから離れた場所で監視していたのですが、それも落とされているので、2機目に関してはよくわからないですね。