なぜ日本企業から「大物経営者」が出なくなったのか…この国をダメにした「4つの原因」
「米国一極支配」による経済の混迷
確かに現在では、欧米が明治維新の頃のように大砲や軍艦で我々を脅迫することはない。 だが、6月9日公開「戦後体制が崩れて世界は『大乱』~資産も大事だが、変化に対応できるのは人間だけだ」で述べたように、1990年頃のバブル崩壊以降の歴史は、1991年ソ連崩壊以降の「(世界の)米国一極支配の歴史」と重なる。 この間に世界の金融・経済システムを「ジャイアン・アメリカ」が強権的に支配してきた。例えば、マネーロンダリング対策と称して、我々の銀行口座での取引に多くの規制がかかり、取引が煩雑になったのも、米国の「世界戦略」の影響である。 世界の金融が「米国一極支配」であるからこそ、6月9日公開「ついに世界の覇権移動が始まった…! 『ジャイアン』アメリカを恐れず、いまBRICSが急速に拡大している『衝撃の理由』」3ページ目「アメリカの世界権力の源泉『金融システム』」で述べたように、BRICSの主要な設立理由として「世界的な金融システムの再編や欧米主導の国際金融機関における発言力の強化」が掲げられたのだ。 そして、世界的な金融の支配と共に、日本の経営・ビジネスにおける欧米化(というよりも米国化)の象徴が次の4つであると考える。 1. プロ経営者の蔓延 2. コンサルタントの跋扈 3. SDGs 4.(自己保身のための)コンプライアンス
「日雇い」の経営者
1の「プロ経営者問題」については、2020年7月20日公開「『プロ経営者』たちが日本企業を次々に破壊しているというヤバい現実」、2021年4月28日公開「東芝、マクドナルド、日産…日本企業をぶっ壊す『プロ経営者』たちのヤバい実態」など多数の記事で述べてきた。 要するに、「いつ雇い止めになるかわからない『短期雇用』の経営者」が「企業の長期的発展」を真剣に考えるはずが無いということだ。 2の「コンサルタント」については、「コンサルタントの言いなりになって潰れた(経営悪化した)企業」の話をいやというほど聞く。彼らは企業の発展では無く、コンサルタント契約の延長と仕事の増大を望むから、とにかく重箱の隅をつつくように「企業の問題点」を洗い出す。 問題点の改善にはよい点もあるが、問題を改善して平均点になっても企業間の競争には勝てない。2021年1月25日公開「企業競争力の源泉=個々の従業員の長所は後からいくらでも伸ばせる」5ページ目「長所進展法が最良戦略か?」で述べたように、企業を勝利に導くのは「突出した長所」であり、決して凡庸な平均点ではない。その点で、コンサルタントを雇って粗さがしばかりをしている企業の将来は暗い。