岡田武史、勝負の3年間へ。前例なき学校作りのカギは「真の探究」【インタビュー後編】
学校の日常に、真の「探究的な学び」を
また、フィールドワークをベースにした探究的な学びも、FC今治高校の特色の一つです。 午前は校内で一般教科を学び、午後は学校を飛び出して地域へ。事業者を訪れたり、里山で農業や野外活動を行ったり、お遍路巡りをしたりと、さまざまな体験を通して自分の好きなこと、やりたいことを見つけ、主体的に学ぶ時間となっています。その一つが、「里山未来創造探究ゼミ」です。 「生徒は、自分で問題を見つけよと言われてもすぐには見つからないですし、探究したい課題があっても実際にどうやればいいか、すぐにはわかりません。これは当然のことだと思います。 里山未来創造探究ゼミでは、岡田メソッド(※「守破離」をもとにした自主性の育成法。詳しくはインタビュー前編参照)と同様、1年次に《型》を習得します。2・3年次には生徒一人ひとりの興味・関心に応じたマイプロジェクトを立ち上げ、PBL(Project Based Learning:課題解決型学習)を進めていきます。FC今治高校では、1・2年次は寮生活で3年次には寮を出るのですが、今後は地域の空き家を自分たちで改修してみんなでルームシェアをする、といったプロジェクトなども考えられますね」 一方で、「いわゆる『探究的な学び』はPBLに限らないし、決まった型があるわけではない」と岡田氏。めざすのは、日常的に探究的に学ぶシーンがある学校だと言います。 「なんでこうなるんだろう、他のケースはどうなんだろう、ちょっと調べてみよう……と、疑問や違和感を起点に学びが自発すれば、十分に探究的な学びと言えるのではないでしょうか。つまり、先生が話すのをただ聞くという一方向の受け身な学びではなく、自ら学ぼうとする姿勢が大事なのではないかと思います」
生徒の主体性を引き出し、探究的な学びを生み出すために岡田氏がヒントにしているのが、横浜創英中学校・高校の工藤勇一校長が提言する、生徒への「3つの言葉」です。 「どうしたの? あなたはどうしたいの? 何か手伝えることはある?……質問はこの3つでいいんです。上から何かを与えるのでも手取り足取り教えるのでもなく、生徒と同じ目線で並走する。生徒が自ら育つ力を信じて、待つ。これが、これからの時代の新しい指導者像なのではないかと考え、私自身も含めて、FC今治高校ではこうしたあり方を実現していきたいと思っています」