【155psパワーアップの理由とは?】新型アストンマーティン・ヴァンテージはひとクラス上にアップ!
DB12のショートホイールベース版と捉える
アクセルを踏み込んだ先のレポートはUK編集部と吉田拓生氏に任せるとして、新型ヴァンテージの立ち位置をもう少し考えてみたい。ちょっと気になって、基本骨格を共有するDB12とサイズを比べてみた。 ●ヴァンテージ 全長4495mm、全幅1980mm、全高1275mm/ホイールベース2705mm/車重1745kg ●DB12クーペ 全長4725mm、全幅(フロント/リア)1942/1980mm、全高1295mm/ホイールベース2805mm/車重1788kg 以前はV8とV12でエンジンも違うので、ベイビー・アストンと本流アストンという別々のモデルに思えたが、若干暴論ながら、ヴァンテージをDB12のショートホイールベース版と捉えると、新型の立ち位置が見えてくる。 最近、ラグジュアリーブランドの取材をしていると、販売が好調であることをよく耳にする。これはクルマに限らず、プレジャーボートや高級時計の世界でも同様で、コロナ禍で移動(海外旅行)よりも身の回りにお金をかけてきた流れが、そのまま続いているような感覚だ。 そこで狙うは超富裕層であり、そこに対する少量生産車や限定車が各ブランドから発売されてきた。アストン マーティンも例外なくヴァルハラ、ヴァルキリー、ヴァラー、ヴァリアントと発表、発売しているし、他の英国ブランドでいえば、ロータスがエリーゼの世界を捨ててまでハイブランド化を目指すのも、ジャガーが売れ筋をランドローバーに任せてハイエンドにシフトアップするのも同じ理由だろう。 だからヴァンテージは、そういった市場で生き残るべくクラスアップを図りながら、それでいて『らしさ』を残すという意味で、ここに落ち着いたと想像できる。ならば個人的な好みで書けばメーターはデジタルからアナログに戻すなど、大胆な『古典的揺り戻し』があってもいいと思う。『古い』のではなく、理解した上で『旧い』ことは、一周回ってヴァンテージ(=有利)になるはずだ。
平井大介(執筆/編集) 神村聖(撮影)