バイトはクビ続き 正社員にならねば イセエビは食えず、「ぶっ殺すぞ」とまで言われ 話の肖像画 夢グループ創業者・石田重廣<12>
翌日から築地市場で働いている人たちにカマボコの配達先がどのお店か、聞いてまわるわけです。昭和50年代の築地市場は活気に満ちていて、誰もが忙しそうに働いている。で、僕が「○○店ってどこですか?」って聞くと、「うるせえな、あんちゃん」「忙しいんだ」「邪魔すんな」となる。「ぶっ殺すぞ」とかね。で、なんとか配り終えてカマボコ店に帰ってみると、「遅い」って叱られるわけです。さらに「ズーズー弁だから通じないんだろ」って。
そんな状況ですので、カマボコ店に帰るのは一向に早くならない。で、4日目に「もう来なくていいから」と。でも僕は納得できません。で、「4日分の給料は支払っていただけるのでしょうか」と尋ねたんです。それが「仕事もろくすっぽできないヤツに給料を払えるわけないだろ」って。これには頭にきましたね。
お金を稼ぐのは大変なんだ、とつくづく思い知らされました。そしてすぐクビになるアルバイトは自分に向いてない、とも。そこで正社員として働く決意を固めたのです。(聞き手 大野正利)
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