東大主砲がスマホで綴った“6000字の感謝” たとえ「負け組」でも…笑顔で全うした野球愛
東大で4番を務めた内田開智内野手が「六大学ブログリーグ」に記した思い
小さい頃から続けてきた野球を引退するときが来た。東京六大学リーグ・東大でプレーした内田開智内野手(4年)もその一人。同リーグでは「六大学ブログリーグ」という選手が記す公式ウェブコンテンツが存在する。内田さんがたっぷり記した6000文字には周囲への感謝があふれ出ていた。 【一覧】有名企業続々…東大野球部31人の進路一覧 僕は野球が大好きです――。この一文から始まるブログには東京・渋谷区の学童野球チーム・大向ベアーズ、中学硬式の名門・東京神宮リトルシニア、開成高(東東京)、東大といった所属チーム、整体師やトレーナー、野球施設「フィールドフォース」のスタッフら支えてくれた人々への感謝の言葉が並べられている。 大学ではプロ入りも目指した選手だった。記したブログが公開されると、内田さんを知る人たちの間で話題になった。感謝の言葉を伝えられた人々には、涙を流す人もいた。内田さんに文章に込めた思いを聞くと「こうやって思いを伝える機会って、なかなかないと思いました。書き始めてみたら、伝えることができなかった人がたくさんいるな、と」。ここを逃したらチャンスはない――。一球入魂。野球と同じように、好機を逃さず、挑戦した。 小学校時代のコーチには、野球の楽しい経験があったから続けることができたという感謝。その指導者にとっても嬉しい言葉だろう。大学生になった今もそのコーチとは良好な関係が続いている。中学時代は恩師と言える存在にも出会った。「東大を目指せ」と東京六大学でプレーすることを目標に立ててくれた記憶は忘れない。 「長くなってもいいから、書こう」。試合後のバスの中で、スマートフォンに文字を打ち続けた。失策した試合後に「やべぇ……」と思いながら、素直な気持ちを書いた。時には就寝前のベッドの上でも込み上げてくる思いを打った。読み返すと「羅列しているだけでした。うまい文章って伏線回収とかがあると思いますが、素直な気持ちを書いただけです」。指導者だけには留まらなかった“感謝の輪”。その文章は6000文字に渡るブログにしては長文だが、すんなりと心に入ってくる。