石丸伸二「挑戦とは、特別な誰かのものではない」。人生を変えた3つの挑戦。新たな挑戦は東京都知事選
アスリート、文化人、経営者など各界のトップランナーによる、人生の特別講義を提供するイベント「Climbers(クライマーズ)」。その第7弾が、2024年5月15日、16日の2日間にわたって開催され、ビジネスパーソンを大いに熱狂させた。今回、安芸高田市長の石丸伸二さんによる特別講義を一部抜粋して掲載。 【写真】Climbers、小野伸二による特別講義
これまでの人生で、3つの挑戦をしてきた
これまでの人生で、大きく3つの挑戦をしてきました。1つ目は高校受験。私は広島県の田舎町で生まれ育ち、家も裕福ではなかった。中学3年の時に父親に「義務教育を終えて、その後、どうするんだ?」と聞かれました。高校に行くか、行かないかの選択です。そういうことを、わざわざ聞いてくる家庭の状況だったんです。 「高校、行かせてや」と答えました。自分で選んだ選択。どんな選択にも、責任が伴います。広島県内の県立高校に進学し、必死に勉強する毎日。その高校で初めて京都大学に合格した生徒になりました。 2つ目の挑戦は市長選挙です。私は大学卒業後、三菱東京UFJ銀行に入行。ニューヨークに駐在し、中南米を担当することになりました。南米には政治がうまくいっていない国が多いんです。ブラジルは資源がありながら発展を遂げられない。アルゼンチンはデフォルトを繰り返している。コロンビアは内戦が続き、政局が安定しない。 日本から遠い国ですが、他国のこととして安閑と見てはいられません。日本も「政治は三流」といわれる国。いつかこのような事態になるのではないか。そう感じていた時に、広島を舞台に公職選挙法違反事件、いわゆる“河井事件”が起こりました。現金を受け取った安芸高田市の児玉浩市長は責任を取って市長は辞任しましたが、後任を決める選挙に副市長が出るといいます。あんな事件があったのに、これでは何も変わらない。このままでは中南米のようになってしまう。安芸高田市を終わらせないために、私は選挙に出ることを決めました。 市長に当選し、3つ目の挑戦が始まりました。市政運営です。ご存じの通り、日本は人口が減少傾向にありますが、急速に減っているのが地方都市。安芸高田市も同様の状況で、このままでは社会が維持できなくなると感じていました。それなのに、市議会は危機感をまったく感じていません。 私は議会やメディアと衝突を繰り返し、財政を健全化するために闘いました。様々な手法を用いて、街にお金をもってくる。今、安芸高田市の公式YouTube会員は26.5万人。地方自治体としては日本一の登録者数です。2023年度の安芸高田市へのふるさと納税額は、前年より2億5000万円増えました。