【高校サッカー選手権】初の選手権予選制覇を目指す大成が6発発進
10月19日、第103回全国高校サッカー選手権東京予選Aブロック3回戦は10月19日、南豊ヶ丘フィールドで2試合が行われ、関東高校大会予選で初優勝し本大会も制した大成が初戦に登場。都立片倉に6-0で大勝してベスト8進出を決め、10月26日の準々決勝で東京実業と対戦することになった。 【フォトギャラリー】都立片倉 vs 大成 大成と都立片倉は昨年の2次予選Bブロック準々決勝でも顔を合わせ、大成が5-1で快勝し4強に進んでいる。 立ち上がりは初戦の硬さも少しあったようだが、序盤からボールを握って外から精力的に進撃。伊佐地晴希と川村歩夢(ともに3年)の両ボランチが、パスとドリブルで中列後方から攻撃を組み立て、右の稲荷啓太、左の榎本凱(ともに3年)の両サイドMFがスピード豊かに敵陣に顔を出して鋭いクロスを配給した。 稲荷が敵ボールを奪ってシュートした前半9分の決定機はものにできなかったが、18分には伊佐地のスルーパスに左から走り込んだ榎本が合わせて先制。この3分後に左CKを獲得すると、川村がファーポストに送った絶好球を伊佐地がヘディングでたたき込んだ。 その後も23、30、36、38分とFW伊藤雄淳、MF坂本青輝(ともに3年)、稲荷の3人で4本の決定的なシュートを放ったが、GK竹中一平(2年)の好守などに阻まれて加点できなかった。 前半の片倉は右MF富山晃(2年)が、旺盛にボールを要求してはサイドから何度も突破を試みた。MF歳森杏介(3年)も守備の背後を狙っていたが、なかなか格好のボールを最前線に届けられず、ビッグチャンスは訪れなかった。 前半を2-0で折り返した大成は、後半に入るとさらに攻勢に出た。まず6分、榎本の右クロスが混戦となり、素早く回収した伊藤が蹴り込み、12分には伊佐地が続いて4点目をゲット。この後の2ゴールはともに途中出場の2人でものにした。 30分にMF工藤佑斗(3年)がドリブルで持ち運んでから強烈な一撃を突き刺すと、FW森田達也(2年)も37分に軽やかなドリブルからネットを揺らし、大量点の締めくくりとした。 片倉は1次予選ブロック決勝で中大杉並に5-0、2次予選初戦の2回戦でも武蔵に4-0と快勝したが、大成とは個々の力と組織力に差があり、無得点の完敗に終わった。 初戦に快勝した豊島裕介監督は「本宿(博史)先生は尊敬している人であり、お世話にもなってもいます。同じ地区のチームでもあるので正直、戦いたくなかった」と、まずは敵将・本宿監督とチームに敬意を表した。その上で、「前半に3点は取りたかったが、次の試合では決め切ることをしっかりやりたい」と振り返る。 5月の関東高校大会予選で初優勝すると本大会決勝では、昨夏のインターハイを制した明秀日立(茨城)を4-2で下し、こちらも初の栄冠を獲得した。 しかしインターハイ予選は準々決勝で駒澤大学高等学校に0-2で敗れ、2回目の全国大会出場を逃している。指揮官は「関東で優勝してもおごることなく準備してきたのですが、もったいない2失点でした。あのやられ方では選手権は駄目だと感じ、結果にこだわった8月の青森ユース(U18)フェスティバルで3位になり自信をつけました」と説明する。 昨年の選手権予選はBブロック準決勝で修徳に1-2と惜敗したが、今回はさらなる手応えを感じているのかもしれないが、豊島監督は「ひとつずつ大事に戦い、紙一重の勝負をこちらに呼び込めるように周到な準備をするだけです」と快勝にも手綱を引き締める。 無失点に抑えたことは、チームの自信につながると主将のCB小池汐生(3年)は胸を張る。「今日はゼロでいこうとみんなで話し合っていました。相手は1次予選から勝ち上がってきたので、1点でもやったら勢いづくのでそこはしっかりできたと思います」と笑顔を見せた。 初の選手権予選制覇に向けては「練習してきたことを信じ、それを試合で100パーセント発揮するだけです。仲間を信じて1戦1戦頑張りたい」と監督同様、謙虚に意気込みを語った。 (文・写真=河野正)