なぜ井上尚弥は9.3有明V2戦の相手に海外でマッチメイク批判のあるドヘニーを選択したのか…WBAベルト剥奪問題の解決で4団体王座の最長防衛記録を狙う?!
井上は、これらの声をどう受け止めているのか。 「この試合を終えて引退するわけでもない。階級を変えるわけでもない。楽しみに待ってくれと言いたい。あと2年、この階級でやることを考えている。その中でのドヘニーだった。次の対戦相手も含めて、皆さん楽しみにしてくれればと思う」 会見終了後の囲み取材で「モチベーションは大丈夫なのか?」と質問すると、さらに詳しく、こう熱弁した。 「そこが難しい。スーパーバンタムでやるなら、いつかこういう試合はくる。約2年間となると、多くて6試合。この6試合で前回みたいな試合(ネリ戦)を全部するのは不可能。ドヘニーに勝って、次はグッドマンか、アフマダリエフか。まだ(ドヘニー戦後の)話は出てきていないが、そうなっていくんじゃないか。アフマダリエフを撃破したとして“次誰とやりますか”となって、そこもまた難しくなってくる」 これが本音だろう。強すぎて戦う相手がいないというモンスターゆえの苦悩だ。 「ただ、そういう状況だからといって自分の体が出来上がっていないのに無理に階級を上げるという選択肢は今はない。だから、(スーパーバンタム級は後)約2年と決めた中での今回はドヘニー。全力でこなしていかなくちゃいけない」 そして「前みたいなモチベーション不足が今はない」と断言した。 バンタム級時代は、骨のある対戦相手不足でモチベーションを保つことに苦労した。 「周りの期待だったり、スーパーバンタム級でやる楽しさも加わっているので心配はない」 井上は、4万人を超える5.6東京ドームでのネリ戦を境に新たな境地に突入した。だが、それは、同時に、あの戦いを超えなければならないとの宿命を抱えたことにもなる。 「東京ドームで試合ができたのはボクシング人生の中で凄くキャリアになる出来事ではあったが、その1戦を超えるようなパフォーマンスを見せなければならない。あの試合にはプラス、マイナス。いろんな要素が含まれているが、あの一戦と同じくらい仕上げないといけない。前回よりもどっかが欠けてもいけない。リングに上がると、関係者、ファンは、どれだけトレーニングをしてきたか体つきを見たらわかる。ぬかりなくやっていく。あの試合で燃え尽きるんじゃなく、さらに加速させていくボクシング人生にしたい」 誰が相手でもモチベーションが下がることはない。
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