私大医学部なら「学費3,000万円前後」だが…なかには「6年間ずっとタダ」も。全国約80校に紛れた“特殊医学部”
地方での生活費も加味し、経済状況や学力レベル、条件に合う選択を
以上、奨学金制度が充実している大学・地域を紹介しましたが、地方の大学の場合、学費のほかに、家賃や生活費が発生することもしっかりと把握しておきましょう。 また、始めに契約内容をしっかりと確認しておくことも大切です。 下記は数年前に筆者のもとに届いた相談メールです。 ---------------------------------------------------------- 『私は20XX年に都内の歯学部を卒業後、20XX年にXX医科大学にAO地域枠として入学し現在医学部X年です。ところが入ってみると初期研修施設の縛りや専門医取得における縛りなど後出しジャンケンのように縛りが強くなっていきました。そこで離脱の意向を伝える(もちろん貸与されたお金の返済はすることも伝えてあります)とまるで犯罪者扱いを受ける始末です。』 ---------------------------------------------------------- (※XXは筆者による伏字) 実際にこのようなことも起こりうるということは知っておいたほうがよいでしょう。説明会などで、自治体の担当者にしっかりと条件を確認しておくことが重要です。 条件が合えば併願しておくことをおすすめします。一般入試では不合格だったが「地域枠」で合格をもらったというケースもありますし(筆者の生徒にも、このケースで日本医科大学や順天堂大学に合格した人がいます)、地方の国立医学部では、「地域枠」で定員割れが生じるなどしたために、一般入試よりも合格ラインが下がるケースが多いことも事実です。 奨学金の制度は、コロナ禍等を機にパワーアップしたと感じています。たとえば本稿で紹介した国際医療福祉大学「医学部特待奨学生制度」は、次のように充実化しました。 --------------------------------------------- <2021年度まで> 「医学部特待奨学生制度」 ・入学金150万円を免除、最大6年間で1,400万円の給付(1年次250万円、2年次以降は毎年次230万円を給付)。 ↓↓↓ <2022年度から> 「医学部特待奨学生S/A」 ・医学部特待奨学生S…入学金150万円を免除、6年間で最大1,700万円を給付(1年次300万円、2年次以降は毎年次280万円を給付)。 ・医学部特待奨学生A…入学金150万円を免除、6年間で最大1,400万円の給付(1年次250万円、2年次以降は毎年次230万円を給付)。 --------------------------------------------- 学費が安い医学部、奨学金・特待生制度がある医学部、学費が無料の医学部など選択肢はさまざま。経済状況・学力レベルに合った大学を選びましょう。 亀井 孝祥 医学部受験専門予備校メディカ 代表、数学講師 愛知・東海高校から東京理科大学へ。塾講師を経て医学部受験予備校YMSにて数学科主任、教学部長など9年務めたあと、姉妹校設立のため独立。姉妹校提携解消後、医学部受験専門予備校メディカを設立。現在に至る。
亀井 孝祥