飲みの席で悪酔いしてしまい、社長に日頃の不満をぶつけました。後日クビを告げられたのですが、不当解雇にはならないのでしょうか?
会社での飲み会では「今夜は無礼講で、楽しく飲みましょう!」のような言葉を耳にします。この無礼講とは、身分・地位の差や礼儀作法を無視して行う宴会のことをいいます。ただし、この言葉をうのみにして、なんでも遠慮なく話してしまうのはルール違反です。しかしそうはいっても、飲みの席での発言や行動を理由に解雇はできるのでしょうか?
不当解雇とは
会社が従業員を解雇できるのは、次の3つにあたる場合です。1つ目は、勤務成績の不良や能力不足、傷病による就業不応が理由の「普通解雇」です。2つ目は、横領をはじめとした犯罪行為や重大な経歴詐称、長期間に及ぶ無断欠勤が理由の「懲役解雇」で、3つ目は、業績不振や倒産などの会社都合による「整理解雇」です。 上記のような理由がなく、雇用した人を解雇することはできません。客観的に合理的かつ相当性がない解雇や、法律の規定に反した解雇を不当解雇といいます。 これらを踏まえると、今回のように失礼な態度を取った場合や仕事で軽微なミスをした場合、主な理由がない場合などの解雇は、不当解雇にあたります。
不当解雇を受けたらどうしたらよい?
まず、どれだけ強く言われたとしても、書類の手続きやサインをするのはやめましょう。手続きを進めてしまえば、解雇を受け入れたことになり、あとから「やはり解雇を撤回してほしい」と訴えても手遅れになってしまいます。 そして会社側に、なぜ解雇されるのかが記載された解雇理由証明書を発行してもらいましょう。これは労働基準法により、解雇する側が求められた際に必ず提出しなければならないと定められている書類です。 さらに、解雇理由証明書のほかにも、不当解雇であることが証明できる手段を集めてください。例えば雇用契約書や就業規則、解雇通知書、やり取りをしたメールなどがあると、訴えたり弁護士に相談したりするときに役立ちます。
不当解雇をした場合、会社側はどうなるのか
では従業員を不当解雇したらどうなるのでしょうか。 これは、労働契約法第十六条で「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と定められています。また、次のような理由で不当解雇を行った場合には、「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科せられる可能性もあります。 ・解雇制限期間中の解雇(労働基準法第19条違反) ・解雇予告や解雇予告手当のない解雇(労働基準法第20条違反) ・監督機関に対する申告を理由にした解雇(労働基準法第104条2項違反)