ホンダの"ドル箱ミニバン"が8年ぶりのフルチェンで注文殺到! 3代目フリードはどこが進化した?
新型フリードの売れ行きがすこぶる好調だという。いったいどこがウケているの? 新型は何がどうスゴいの? 公道試乗で徹底チェックしたカーライフジャーナリストの渡辺陽一郎氏が特濃解説する。 【写真】ホンダ「フリード エアー」の細部と「フリード クロスター」 * * * ■モデル末期も鬼売れ! ――6月28日発売となったホンダの新型フリードが話題を集めているとか? 渡辺 ご存じのとおり国内の各自動車メーカーは認証不正問題が発覚して大騒ぎ。実はこの影響で新型車の発売が滞っているんです。 ――ふむふむ。 渡辺 そんな中でのフルモデルチェンジで、しかも月販目標の6500台に対して2万4000台という事前予約を達成したので、新型フリードが注目の的になっています。 ――そもそもフリードってどんなクルマですか? 渡辺 ホンダのコンパクトミニバンで、初代は08年にデビュー。今回登場した新型は8年ぶりの全面改良となります。累計販売台数は122万台を軽く突破する人気車で、それが証拠にモデル末期だった昨年も飛ぶように売れて月平均は6464台をマーク! ホンダの国内販売では金看板のN-BOXに次ぐ2位を誇ります。 余談ですが、デビューが新しいフィット(20年発売)やヴェゼル(21年発売)よりもモデル末期のフリード(16年発売)のほうが売れていた。 ――鬼人気のワケは? 渡辺 ミニバンは今でも売れ筋のカテゴリーですが、ミドルサイズ以上は値上げが激しい。 例えばホンダのステップワゴンは一番安価なグレードでも約317万円です。ボディも大きく全長は4800㎜もある。当然、消費者は運転しやすく手頃な価格のコンパクトミニバンに目が向きますが、車種が少なく、フリードとトヨタのシエンタしかない。 ――ライバルのシエンタと、3代目フリードを比べると? 渡辺 シエンタも販売好調ですが、天井が少し低く2列目は3人掛けのベンチシートしかありません。乗り心地も少し硬く、デザインや機能はコンパクトカーに近い。その点でフリードは先代型も含めて背が高く、人気の2人掛けセパレートシートもシッカリ用意しています。 実にミニバンらしい仕上がりですが、逆に言うと、新型フリードはシエンタとの真っ向勝負を避けたようにも見える(笑)。 ――そんなフリードの3代目は、どこが進化したの? 渡辺 標準ボディはエアー、SUV風の個性派モデルにはクロスターの名が与えられました。エアーのフロントマスクはシンプルで好印象です。最近のホンダ車にはシンプル路線の顔が増えましたが、フリードのエアーが一番優れています。 3代目フリードの開発責任者である安積 悟氏いわく、コンパクトミニバンは日常生活に不可欠な存在で、1台の愛車を長く使う傾向が強く、飽きのこないデザインが好まれると。そこで、主張を抑え生活の中に溶け込める造形を狙ったそうです。 一方のクロスターは3ナンバーサイズにして個性を前面に出し、フリードシリーズで、メリハリをつけたそうです。