Chill CARS|時代を大きく先取りしていた、クロスオーバーSUV。
フランスの〈ルノー〉が2000年に発売した《セニック RX4》は、当時では画期的だったミニバンとSUVを融合するコンセプトから生まれたクルマだ。 【フォトギャラリーを見る】 《セニック》は、ハッチバック車の《メガーヌ》に背が高いボディを載せた車種で、1996年に誕生した。実質的には「背が高いメガーヌ」ではあったが、当時このようなモノフォルムのクルマは少なく、斬新だった。室内高が高く、3座独立・折り畳み式リアシートの採用などで実用性に富んでいたため販売は好調に推移。各社も同様のモデルを発売して追従した。 このミニバン《セニック》をベースにSUV化したのが《RX4》だ。汚れ・石跳ねから車体を守る樹脂パネルを下部に張り、地上高アップ、大径タイヤ装着、背面のスペアタイヤカバーなどで、SUVらしい姿を作っていた。上半分が丸く下半分がゴツゴツしたデザインは個性的で、「月面車」というあだ名もついた。 また、外観に負けぬよう4輪駆動システムも搭載しており、日常使用やレジャーの際には威力を発揮した。ところがコンセプトが新しすぎたこともあってフランス本国での販売は苦戦。日本でもオートマチック車の未設定が響き、台数は伸びなかった。 発売時には理解されなかった《RX4》のコンセプトは、ミニバンとSUVのクロスオーバーが珍しくない現在では、高く評価されている。《RX4》が時代を先取りしていた大きな証といえよう。
country: France year: 2000-03 seats: 5 size: L4,350×W1,785×H1,740mm price: approx 1,000,000 yen
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