カレーの具を“知らない子”増加の背景にある懸念 心と体を使って経験できる場を作ることが重要
このような一般教養のない子どもたちが生まれてしまう理由は明白で、大人が必要だと感じること以外のものについて、子どもの興味の芽を摘み取ってしまう傾向が強く、幅広く与えようとしていないからです。 現代社会は、大人が相当な覚悟をもって教えたり与えたりしていかないと、子どもが自然に学ぶことが難しい環境になってしまっているのです。 これにはさまざまな要因が考えられますが、大きな要因の1つとして、やはりスマホやタブレットの普及が挙げられます。制限がかけにくいうえに、興味のあるものにしか触れない環境になってしまっています。
今から20年くらい前なら、子どもたちの娯楽はゲームやテレビが主流でした。ただゲームはテレビに接続する必要があったので、1日何分までなら遊んでもいいなど、制限がかけやすいものでした。 またテレビは、番組によっては世の中の流れや常識を知ることができる貴重な媒体の1つですが、そのテレビの視聴時間も近年は減ってきています。勉強の妨げになるからという理由で、テレビを見ることも禁止してしまえば、本当に狭い世界のものにしか触れない環境になります。
■中学受験塾が大切にする「教養」 希学園でも、保護者の方には「スーパーマーケットや動物園・博物館などに連れていって、実物に触れさせてください」「旅行の前後に、地図帳やガイドブックなどで旅先の位置や特産品について確認しながら、親子で話をしてください」などと、保護者の皆さまにさまざまな啓蒙を行っています。 それに加えて、テストも宿題もなく、授業のみで教養を身に付けてもらうための講座「小3理科特訓」「小3社会特訓」を開講したり、塾生向けに「社会科チャンネル」「理科チャンネル」を立ち上げて、希学園の講師がさまざまな場所を訪れて解説したり、理科の実験を実演したりする動画を配信しています。
ユーチューブ世代の子どもたちに、少しでも興味を持って、教養を増やしてほしいと考えての取り組みです。 今一度、子どもたちに何を与えるべきかを考え、そのうえで大人が共有して共感してあげる姿勢を見せていきましょう。 そうして、人と人との関係からさまざまなことを学ぶ面白さや大切さを、保護者の皆さまにはぜひとも伝えていただきたいです。
黒田 耕平 :希学園理事長兼学園長