“スズメバチの巣” を持参 ラーメンが “浅緑色” に… 替え玉保険金殺人事件 裁判で明らかになった「緻密でずさんな計画」
このとき、カメラに写ったラーメンスープの色は「浅緑色」だった。 ■「ムカデにかまれて大変なことに。僕が弟で…」 裁判では、当時の南波被告の119番通報の記録が明かになった。その記録によると、21年11月22日午前0時すぎ、南波被告は廿日市市のホテルから119番通報。消防からの問いかけに、南波被告は「窓を開けたらムカデが入ってきて、2人ともさされて、1人が大変なことになっています。まったく意識がなくて呼びかけに反応しない」などと伝えていた。傷病者との関係を問われ、南波被告が伝えた言葉は「兄弟。僕が弟」。 南波被告は病院の職員に対しても、搬送された人を ”南波大祐” 、自身については ”弟の名前” を伝えていた。そして、南波被告は弟になりすまして、保険外交員に「兄が意識不明の危険な状態」などとメッセージを送信していた。 その後、弟になりすました南波被告が病院を立ち去ったため、看護師が過去のカルテにある電話番号に電話をすると、出たのは ”本物の弟” だった。 南波被告の弟(供述調書によると) 「家で携帯ゲームをしていたところ、病院から電話があった。『お兄さんの命が危ないので戻ってきてください』などと、看護師に強い口調で言われた」 弟から連絡を受けた母親が病院に連絡し、看護師が事情を説明したところ、母親は「弟は太っているので、それは別人だと思う」と答えたという。 その後、病院に駆けつけた母親らによって、搬送された人物が南波被告ではないことが発覚。警察の捜査の結果、愛知県で行方不明届が出ていた安藤さんであることが判明した。 ■下された判決 裁判長「無期懲役の選択も…」 検察側は論告で、「被害者に落ち度はない。理不尽に全てを奪われ、無念さは想像もつかない」などとして、有期刑の上限である懲役30年を求刑。 一方、弁護側は、インターネットの検索履歴について「21年5月1日から11月22日までで1万575件あったが、検察官が抽出したものは585件(5.5%)。関連ワードの検索なしアクセスを持って替え玉保険金殺人の目的を推認するのは論理の飛躍がある」などと指摘。その上で、「被告がお金に困っていた事情は立証されてなく、金銭的需要は見当たらない」とし、「(替え玉保険金殺人は)常識的に考えて不可能で、不可能なことを計画していたとはいえない」などと主張した。