ドローンの空撮人気じわり ── 墜落の危険性、もしもの時の対応は?
子どものころ、ラジコン飛行機・ヘリコプターに憧れた人はいるだろうか。「そんなの高くて買えない」とあきらめた記憶がある人も多いかもしれないが、最近は「マルチコプター」「ドローン」と呼ばれる小型ヘリコプターが手ごろな価格で販売され、そこにカメラを搭載して空撮を楽しむ人も増えている。一方で、今月初めにはマラソン大会を撮影していたマルチコプターが墜落して大会スタッフに当たり、顔に軽傷を負う事故も発生している。利用者が増えているとはいえ、まだそこまで目にすることのないマルチコプターはどのように利用され、万が一の際の保険などはあるのか? 利用者などに話を聞いてみた。
販売業者「半年くらい前から少しずつ売れてきた」
マルチコプターは、2つ以上のローターを搭載したヘリコプターの1種、回転翼機のことをいう。「半年くらい前から少しずつ出てますね」と話すのは、これらの商品を取り扱う大阪の業者。「動画投稿サイトやテレビで空撮のことが紹介されていたらしく、問い合わせが増えてきて売り場も作った」と担当者の男性は話す。 ここで取り扱う商品は、1台約17万円と決して安いものではないが、担当者によると、月に何台かのペースで売れてきているという。「高く飛ばせて安定しているし。その上カメラを付けての空撮も可能となれば売れますね。開発中のものでも、お金を払って予約する人がいるくらいです。そりゃあラジコン操作に慣れた人はもちろん、さわったことがない人でも練習すればすぐに飛ばせますよ」と担当者。 だが、これらの商品は「自分で組み立てが必要」「飛ばせる時間は5分ほど」といった内容を聞くと、その場で断念する人もチラホラいるとか。また「飛ばしちゃいけない場所とかがあるの?」と聞かれることも多いが、それらはメーカーのサイトなどで飛行禁止区域などを確認することができるという。
飛ばすときは細心の注意、常に「万が一」を考え
実際に使っている人は、どのような意識を持っているのか。大阪府内でこれらを使ってイベント撮影などをする企画会社の男性は「『マルチコプター』『ドローン』『マルチローター』などいろんな呼び名があるけど、僕ら業者間では『クォーターヘリ』と呼んでます」と話す。 人が集まるイベントなんかで、空から臨場感のある映像撮影を依頼されることも多いという。まず、これらのヘリを飛ばすには航空法と電波法がからんでくる。航空法では高度250メートル(空港周辺では150メートル)以上飛ばさないなどの制限。そして、電波はFM無線機を使っており、半径50メートル以内という制限があり、無論、それらを守った上で飛ばしている。 人がいるところで飛ばすのは墜落の危険があり細心の注意が必要だ。「もちろん落ちないことを前提に考えているが、安定しているとはいえ、やはり万が一ということもあるので悪天候の場合は、突風などであおられバランスを崩して墜落する恐れがあるので飛ばさない。 ひとけのないところ(民家などもない場所)でやるのが基本だが、イベントなどで飛ばす場合は、最低でも人から20メートル離れた場所で飛ばすことを絶対に心がけてます。それなら墜落のリスクを回避することもできるので」と男性は話す。 また、電波が届かなくなったり、バッテリーが切れるなどのトラブルも心配されるが、最近のものにはGPS機能を使って、それらのトラブルになった場合、またはなりそうな時は、自動で飛び立った場所へ戻る仕組みになっているものが多いという。「安全性を向上させるためバッテリーを加えたり自分でカスタムしていくんで。だから、正式な呼び名ってのが決まってなくて、業者間では『クォーターヘリ』って呼んでます」。ただ、まったくラジコンを触ったことがない人がいきなりやるのは賛成できないとも話す。