「売れ残りタワマン6000万戸」という中国の悪夢…大迷走の中国経済を待ち受ける「”失われた30年超”の暗黒期」
経済のモデルチェンジが不可欠
9月、習近平国家主席は、閣僚に経済成長目標(2024年は5%前後)の実現に“努力”するよう指示した。また、政府は国民に倹約を求めた。 中国政府は、規制緩和や構造改革を進めて消費を増やし、経済のモデルチェンジをすることの重要性は感じていないのかもしれない。 現在の状況を考えると、中国が新しい需要を創出し経済成長率を高めることは可能だろう。国有企業などの民営化を進め、ガバナンス体制を整備する。 また、IT先端企業などへの締め付けは緩め、新しい発想の実現を支援する。1978年以降の改革開放路線はこうした考えを実行し、中国の高成長時代につながった。ティックトックなどの急成長は、中国の起業家の成長や野心が今なお旺盛であることを示す。 政府が、成長期待の高い分野にヒト、モノ、カネを再配分しやすい環境を整備できれば、状況は変化する可能性はある。
一歩間違えれば「暗黒期」に突入
高付加価値のモノやサービスを提供する企業は増え、雇用環境は改善し個人消費は上向くだろう。それは、経済成長率の回復、不良債権処理に重要だ。年金など所得再分配策のためにも、消費を増やして経済のパイを大きくすることは必要だ。 しかし、今のところ、中国政府は需要の創出より、供給サイドを重視している。 過剰生産能力がある中で投資を増やしても、不良債権を減らすことは難しい。その状況が続くと、すう勢として経済成長率は低下し、デフレ環境も深刻化するはずだ。 投資と生産の重視から消費拡大へ政策の転換が遅れれば、わが国以上に厳しい長期停滞に中国経済が陥る恐れは高まることも懸念される。 ―――― 【さらに詳しく】〈中国はもう無理かも…“補助金ジャブジャブEV”に苦戦を強いられたトヨタ、日産、ホンダが狙う「次なるドル箱市場」〉では、血みどろの“EV地獄”と化す中国の惨状を解説しています。
真壁 昭夫(多摩大学特別招聘教授)