ブルーインパルスが被災地を激励! 北陸の空を彩った2つのイベントをレポート【自衛隊新戦力図鑑】
人々を勇気づけるブルーインパルスの飛行
ブルーインパルスは、各地の航空祭やさまざまなイベントで展示飛行を行なっているほか、近年では東日本大震災からの復興を祈念した東北六魂祭(現在は「東北絆まつり」)での飛行や、コロナ禍における医療従事者への感謝飛行など、人々を鼓舞するフライトも多い。今回も当初から予定されていた北陸新幹線の延伸区間(金沢~敦賀)の開業記念に加え、今年1月1日に発生した能登半島地震の被災者への激励飛行があわせて実施された。2023シーズンの活動の締めくくりとなった北陸での活動をレポートする。
3月16日:北陸新幹線開業記念の祝賀飛行
ブルーインパルスは、本番前日の3月15日午前にホームベースである松島基地(宮城県)から小松基地に移動し、午後には予行を行なっている。基本的にブルーインパルスの展示飛行は1カ所で行なわれるが、今回は新幹線沿線(直線距離で約90km)に沿っての編隊飛行に、福井駅と小松駅の2カ所での展示飛行を組み合わせた非常に珍しい構成となった。飛行経路や燃料・スモークオイル使用量の計算を綿密に行ない、関係各所と調整したことだろう。ブルーインパルスの合言葉「創造への挑戦」にふさわしい新たな試みとなった。 16日の本番当日は早朝から新幹線各駅で開業イベントが催され、鉄道ファンなどで賑わった。筆者は福井駅での撮影に臨んだ。福井駅周辺には巨大な恐竜モニュメントがいくつも置かれており、これらとブルーインパルスを組み合わせれば、おもしろいシーンが撮れそうだと考えたからだ。撮影にあたっては、予行の状況を参考にアングルと動線をイメージする。ただし、予行と本番で進入経路や課目の位置が変更されることもあるので、注意が必要だ。正午を過ぎるころには、駅前はブルーインパルスの飛行を目当てにした人々が溢れ、注目度の高さが感じられた。 午後0時38分に小松基地を1機ずつ離陸したブルーインパルスは、6機でデルタ隊形を組むと小松駅から敦賀駅まで編隊航過を行なう。新幹線各駅の上空ではスモークを展開して、美しい航跡を空に描いた。敦賀駅で引き返した編隊は続いて福井駅の上空へと飛来する。航空祭などと違い事前のナレーションは無いため、地上の観客にとってはいきなり展示飛行が始まる感覚だったかもしれない。 午後0時55分から約15分かけて、福井駅上空で6課目を実施した。その構成は以下のとおり――(1)トレイル・ローパス(縦に一列の隊形)、(2)デルタ・ローパス(三角の隊形)、(3)フェニックス・ローパス(フェニックスをイメージした隊形)、(4)サクラ(スモークで空に花を描く)、(5)レベル・キューピット(2機が左右に展開してハートを描く)、(6)サンライズ(旭日のように扇状に広がり上昇)。 ブルーインパルスは、小松駅上空でも同様の展示飛行を行ない、午後1時40分すぎに小松基地へと着陸している。にぎわう街中での展示飛行でもあり、初めてブルーインパルスを見ただろう人々も多く、楽しそうに空を見上げていた。航空祭での曲技飛行もいいが、自衛隊に関心のなかった人々にも感動を与えられるリモートショー(離れた飛行場から飛来して行なわれる展示飛行)の重要さを改めて感じさせた。