専門医に聞く、がんの正しい怖がり方。その知識はもう古い!?
ということで検診が有効ながんは時間の経過に比例してゆっくり大きくなる“のんびりがん”ということになる。のんびりがんで代表的なのは、胃がん、大腸がん、肺がん、子宮頸がん、乳がんの5つで、これらは前述の検診の対象となっているものなので理に適っていると言えるだろう。 ちなみに急速がんで代表的なのは血液のがんだが、血液以外の固形がんにも一部はある。そして超のんびりがん、進行しないがんで代表的なものには前立腺がんや甲状腺がんが挙げられる。 「ただしこれはあくまでも傾向の話なので、どんながんにも急速に進行する可能性があることは忘れないでください」
初期のがんは症状がない場合が多い。【○】
初期のがんは症状が出にくい。それを見つけるのが検診の役割だが、勝俣さんによればある種の自覚症状にもヒントは隠されているという。 「乳房などのしこりや、大便、小便などに血が混じっているときは、それぞれ乳がんや消化管のがん、尿路系のがんの可能性があります。食事中に物を飲み込むのがつらいと感じたら、食道がんを疑ってみる必要があります」 そして大切なことは、これらの症状を感じたらーー。 「怖がって放置しないことです。症状があると進行している場合もありますが、早いほど治療の選択肢は広がるので、迷わず医師に相談に行きましょう」
女性ホルモンの増減はがんに影響する。【○】
女性ホルモンを過剰に曝露すると、乳がん、卵巣がんになる確率が高くなるといわれている。 「未婚の若い女性にそれらのがんが多いのは、女性ホルモンによる影響が大きいからだと思われます」 一方、更年期を控えた、クロワッサン読者世代にも注意が必要だ。 「この世代ではホルモン補充療法やサプリなどで補っている人も少なからずいるかと思いますので、過剰な摂取にはくれぐれも気をつけてください」 自分の体の声に耳を傾けつつ、婦人科医の指導のもとコントロールしよう。
がんは進行の具合によって、4つのステージがある。【○】
がんは腫瘍の大きさ、そしてリンパ節や他部位への転移の状況で4つのステージに分類される。 「一般的にはステージⅠ、Ⅱの段階を“早期がん”、ステージⅢ、Ⅳの段階を“進行がん”と呼んでいます」 ただ……と勝俣さんは言葉を継ぐ。 「ステージⅣを末期がんと呼ぶ人がいますが、それは誤りです。確かに進行はしていますが、私の患者さんではステージⅣで最高40年生き延びた人がいます」 なるほど20年ほど前は1年生きるのがやっとだった。けれども今は医療の進歩のおかげでステージⅣでも5年、10年延命する人は決して少なくない。がんとうまく共存しなければいけない。