4月からワクチン定期接種…帯状疱疹を知る(4)やっかいな後遺症「帯状疱疹後神経痛」にならないためのポイント
帯状疱疹らしき症状があれば、速やかに皮膚科やペインクリニックを受診すべきだ。治療を受けなくても、皮膚症状はやがて快方に向かうだろう。しかし帯状疱疹ウイルスによる神経の傷害の程度がひどいと、「帯状疱疹後神経痛」のリスクが高くなる。「外山皮膚科」(宮崎県日南市)の外山望院長が言う。 帯状疱疹で1週間10キロ痩せ…モモコさんは今も痛みと闘う 「帯状疱疹は、帯状疱疹ウイルスの活性化で神経が傷害されて起こる病気です。だから、ウイルスを鎮めることが治療となり、抗ウイルス薬の投与で沈静化のスピードを速めることができます。しかし、帯状疱疹後神経痛は神経が大きく傷害され変性したことで、わずかな刺激にも過敏となった状態。神経の変性を完全に元の状態に戻すのは極めて困難です」 神経の傷害の程度を最小限にとどめるには、抗ウイルス薬をいかに早い段階で投与するか。もし体の左右どちらかに神経に沿った痛み、紅斑、水疱が見られれば、それが帯状疱疹を疑うサインとなる。 さらに「過去に水疱瘡(水痘)にかかったことがある(記憶になくても不顕性感染ということもある)」「ピリピリ、ヒリヒリ、ジンジン、ズキズキといった皮膚の違和感、かゆみなどがある(紅斑、水疱より先から出てくることが多い)」というなら帯状疱疹の疑いはより濃厚だ。 「帯状疱疹は一般的に症状の経過と見た目で診断できますが、似たような症状の虫刺されや湿疹と区別がつきにくいこともあります。そんな時は迅速診断キットを用います」 皮膚の水膨れの部分で、水膨れを除去し、皮膚がむけているところを専用の綿棒でこする。綿棒を検査液に入れ撹拌し、数滴、検査キットに落とせば、5~10分で陽性か陰性かがわかる。ただ、皮膚に症状が全く出ていない場合は迅速診断キットは使えない。 帯状疱疹には血液検査や顕微鏡検査もあるが、血液検査は判定まで数日かかり、顕微鏡検査は他のウイルス感染との区別がつかないというデメリットがある。 「帯状疱疹の診断がついたら、抗ウイルス薬の内服薬、重い場合は点滴となります。鎮痛剤や神経ブロック注射で痛みのコントロールをすることもあります」 帯状疱疹の皮膚症状が治るまで、個人差があるものの2~3週間ほど。一方、帯状疱疹後神経痛となると月単位、年単位でひどい痛みが続くことも少なくなく、やっかいな病気だ。(おわり)