無人駅なのに駅員がいる「簡易委託駅」誕生秘話 「石破首相の父」提案きっかけ?鳥取から全国に
■新しいタイプの委託駅も 現在も簡易委託化で無人化を回避するケースはあるが、それ以上に有人駅と簡易委託駅が無人化されるほうが多く、無人駅は増え続けている。国土交通省の資料によると、全鉄道駅に占める無人駅の割合は2001年度が43.3%(9514駅中4120駅)だったのに対し、2019年度末時点でほぼ半分の48.2%(9465駅中4564駅)に。20年近くで約400駅も増えた。 先に触れた因美線の簡易委託化した6駅も5駅が無人化され、残る河原駅も現在は平日の一部時間帯のみ切符を販売する「ほぼ無人駅」だ。利用者の減少に加え、老朽化に伴う駅舎の解体で切符を売るスペースがなくなったことや、委託先の高齢化で後継者がいないことも背景にある。
こうしたなかで新しい動きも出てきた。内房線の江見駅(千葉県鴨川市)の場合、JR東日本と日本郵便が連携し、郵便局を併設した駅舎を新たに整備。2020年8月、江見郵便局がここに移転する形で使用を開始した。JRの駅員は常駐していないが、郵便局が切符を販売。さらに列車の発車時刻や運賃の案内、精算、交通系ICカードの販売やチャージも取り扱っている。 駅員がいないからといって必ずしも不便とは思わないが、「駅員」がいないことの不安感、「駅員」がいることの安心感は確かにある。石破首相には父を超える無人化回避の方策を示し、実行してもらえればと思う。
草町 義和 :鉄道プレスネット 記者