効果は期待できる? やっと入山規制が行われることになった「富士登山」…今から危惧される問題点も
昨年の吉田ルート1日の最大人数は3974人…「4000人」の規制で大丈夫か?
富士山に登るには、山梨県側から登る「吉田ルート」、静岡県側から登る「須走ルート」、「御殿場ルート」、「富士宮ルート」の4つのルートがある。このうち、いちばん登山客に利用されているのは吉田ルートだ。’23年は約22万人が富士山に登ったが、そのうち約14万人と約60%の登山客が吉田ルートを利用している。 【衝撃写真】トイレットペーパーが、山肌にへばりつき、“白い川”のように… その吉田ルートでは今年から、1日の入山者を4000人とし、入山料として2000円、16時から翌3時まで登下山道を閉鎖、さらに吉田ルートに行くためのスバルラインゲートも18時から翌6時まで閉鎖することになった。 あまりの登山客の多さに、いつか大きな事故が起きるのではないかと心配されている富士登山。これで少しは安心できるようになるのだろうか。 「吉田ルートからの登山はかなり改善できると思います」 こう言うのは、30年ほど富士山ガイドを務めているA氏。 しかし、1日4000人に制限するというが、環境省の調査によると、’23年に吉田ルートを利用した登山客がいちばん多かったのは、7月16日の3974人。 4000人では多すぎるのはないだろうか。 ◆16時から翌3時までゲートも閉鎖…「弾丸登山」はなくなりそう 山梨県の担当者に聞くと、登山客にGPSをつけてもらい、どの程度混雑したら危険かを調査したうえで“4000人”に決めたという。 確かに’23年は、コロナ禍明けで、登山客が戻ってきたといわれているが、最近10年をみると、約22万人というのは、多い数字ではない。’17年には約28万5000人、’14年にも約27万7000人が登っている。コロナ前の’19年は約23万6000人だが、このとき登山客がいちばん多かったのは8月11日の5033人だ。登山客がコロナ前に戻ることを考えれば、4000人としたのは、意味があることなのかもしれない。 「それよりも大きいのは、今まで24時間いつでも開けていたゲートを16時から翌3時まで閉めることにした点です。このことによって、山小屋に泊まらず、夜入山して頂上を目指す弾丸登山ができなくなりました」 もちろん、これでオールOKというわけではない。 A氏によると、問題は登山道のゲートを閉める時間と、スバルラインのゲートを閉める時間に“差”があること。 「16時にゲートが閉まることを知らずに、18時に車で着いた人は入山できず、行き場を失ってしまうことが考えられます。また、ゲートが開く6時にはバスやタクシーで長蛇の列ができるでしょう。かなりの混乱が予想できます」