中国がEU事業拡大停止を自動車メーカーに要求、関税対立で-関係者
(ブルームバーグ): 中国当局は電気自動車(EV)を巡る欧州連合(EU)との貿易摩擦の激化を受け、同地域での事業拡大を停止するよう自国の自動車メーカーに圧力をかけている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
非公開のやり取りだとして匿名を条件に話した関係者によると、中国当局はEU域内での積極的な生産拠点探しや新規契約の締結を保留し、中国製EVに対するEUの関税を巡る交渉が続いている間、全般的に目立つことは控えるようメーカー側に求めた。警告を受け、国有企業の東風汽車集団はイタリアで自動車を生産する可能性があった計画をすでに停止したという。
今回の要求は強制的な命令ではないものの、中国とEU間の緊張に拍車を掛ける可能性がある。EUは今月、中国が自国の自動車メーカーに不当な補助金を提供しているとして、中国製EVに最大45%の関税を課すことを採決で決定。一方、中国側はこの主張を否定し、欧州の乳製品やブランデー、豚肉、自動車セクターに独自の関税を課す構えを示している。
EU、中国製EVに最大45%の関税決定-貿易摩擦激化は必至
行動が慎重になっているのは東風汽車だけではない。中国の別の国有自動車メーカー、重慶長安汽車はミラノで今週予定されていた欧州でのブランド発表イベントを中止した。関税交渉がなお続いているためだと、関係者の1人は述べた。
EUと中国は関税賦課の必要性を回避する代替の合意に向けて取り組む方針も示している。
イタリア企業省の報道官はコメントを控えた。東風汽車と長安汽車の担当者はいずれもコメント要請に応じなかった。中国商務省の担当者にもコメントを求めたが、返答がなかった。
原題:China Asks Carmakers to Halt Europe Expansion Over Tariff Spat(抜粋)
--取材協力:Haze Fan、Alberto Nardelli、Wilfried Eckl-Dorna、Luz Ding、ジェームズ・メーガ.
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Albertina Torsoli, Chunying Zhang, Daniele Lepido