今年のボーナスは「80万円」支給! でも手取りは「60万円」!? どうしてこんなに引かれるの? 引かれる「社会保険料・税金」について解説
今年夏のボーナス額を聞いて喜んでいたけれど、実際に振り込まれた額を見てがっかりしたという経験のある人は多いかもしれません。ボーナスの額面からはどんなものが引かれているのでしょうか? 本記事では、ボーナスの額面80万円の場合だと、手取りはいくらになるのかを例に挙げながら具体的に解説します。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
額面と手取りの違いについて
まず額面とは、会社から支払われる総額のことです。給与の場合、基本給をはじめ交通費や残業代、住居手当、家族手当などすべての手当をトータルしたもので「総支給額」とも呼ばれます。 一方で、手取りは自分が実際に受け取れる金額のことです。通常、会社員であれば「総支給額」から税金や社会保険料が差し引かれた金額のことを指します。手取りは、給与明細の「差引支給額」に記載されます。
ボーナス「80万円」支給時の手取り額は約60万円
ボーナスの額面が「80万円」だった時における手取り額は、約60万円前後となります。額面から考えると、実際に受け取れる手取り額は約20万円少なくなりますが、具体的にどんなものが控除されるのか見ていきましょう。 ■ボーナス時に差し引かれる社会保険料は4つ ボーナス時に差し引かれる主な社会保険料は、次の4つです。なお、協会けんぽが公表している東京都の保険料率を基に、具体的な保険料率を見ていきます。 ●厚生年金→保険料率は18.3%(労働者負担は半分の9.15%)80万円×9.15%=7万3200円 ●健康保険→保険料率は9.98%(労働者負担は半分の4.99%)80万円×4.99%=3万9920円 ●雇用保険料→雇用保険料率は0.6%固定として計算 80万円×0.6%=4800円 ●介護保険料→介護保険料率は1.82%(40歳以上のみ) 80万円×1.82%=1万4560円 社会保険料の合計額 13万2480円 厚生年金と健康保険は会社が保険料の半分を支払ってくれる労使折半となっています。雇用保険料は業種にもよりますが、一般的には労働者よりも事業者の負担割合が大きいです。 なお、介護保険料は40歳以上のすべての国民に納付が義務付けされています(40歳未満は控除なし)。前記の社会保険は(正社員であれば)会社で強制加入となりますが、個人の給与ごとに等級が決まっており、この等級をもとに保険料が異なります。 ■ボーナス時に差し引かれる税金は所得税のみ 会社員が毎月の給与で支払う税金は、次の2つです。 ●所得税→所得税=(ボーナス額-社会保険料合計)×源泉徴収税額 ( 80万円-13万2480円)×10.210%=6万8153円 ●住民税→控除なし ボーナスに関して控除となる税金は、所得税のみで住民税は差し引かれません。住民税は前年度の所得に基づき12分割されて毎月の給与から天引きされますので、ボーナスは控除の対象外となります。
年齢や家族構成によっても手取り額は異なる
同じ「80万円」のボーナス額であったとしても、年齢や家族構成によっても手取り額は異なってきます。 例えば、40歳未満であれば介護保険料は必要ありません。また、配偶者を扶養に入れか入れないかや、子どもの年齢によっては扶養控除の対象となります。したがって、あくまでも手取り60万円は一般的な目安と考え、自分の状況によっても手取り額は変わってくることを把握しておきましょう。 出典 全国健康保険協会 令和6年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都) 国税庁 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和6年度) 執筆者:鳥谷威 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
ファイナンシャルフィールド編集部