離れて暮らす母親の「通院費」や「治療費」を私が支払っています。同居していないときは「医療費控除」の対象外でしょうか?
遠方に住んでいる親の医療費を、子どもが援助するケースもあるでしょう。親の医療費を支援する場合、医療費控除の対象になるのかを確認しておくことをおすすめします。 医療費控除は、条件を満たしていれば本人が親族のために支払った費用も本人の控除に含める制度です。今回は、医療費控除の対象になる条件や控除される金額の例などについてご紹介します。
医療費控除の対象になる条件とは
医療費控除は、自分だけでなく自分と生計を一にする親族にも適用されます。国税庁によると、医療費控除の対象となる条件は、以下の通りです。 ●納税者本人が、本人または本人と生計を一にする親族や配偶者のために支出した医療費である ●その年の1月1日~12月31日の間に支払った医療費である(当年度の未払い分は実際に支払った年に持ち越される) 例えば、本人が生計を一にする親のために通院費や薬代を同じ年に支払っていた場合は、親のものも含まれます。しかし、通院費や薬代が後払いで実際に支払うタイミングが次年度になる場合、その年の医療費控除としては申請できません。 なお、親が遠方に住んでいる場合でも条件を満たしていれば生計を一にしているとして、医療費控除に合算が可能です。国税庁によると、同じ家に住んでいない場合でも、以下の条件を満たしていれば生計を一にしているとみなされます。 ●当該他の親族と日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には当該他の親族のもとで起居を共にすることを常例としている場合 ●これらの親族間において、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合 つまり、定期的に親子で会っており、親へ医療費を含む生活費などの支援をしていれば、子どもの医療費控除に親のものを含めます。
控除される金額の例
医療費控除が適用される金額は、「実際にその年に支出した医療費-保険金などで支給されたお金-10万円」で求められます。以下の条件で、医療費控除の金額を求めてみましょう。なお、控除上限額は200万円です。 ●母親の通院費が毎月2万円 ●母親の薬代が毎月1万円 ●自身の入院費が50万円 ●自身の薬代が1万円 ●保険による支給が30万円 まず、母親の医療費は「2万円×12ヶ月+1万円×12ヶ月」で合計36万円です。自身の医療費と合算すると、医療費合計は87万円になります。医療費控除は保険による支給金と10万円を引いた金額のため、「87万円-30万円-10万円」で47万円が控除の対象です。 ただし、その年の総所得金額等が200万円未満の方の場合は、10万円の代わりに総所得金額等の5%を差し引きます。もし総所得金額等が150万円の方の場合、医療費控除を計算する際に使用する金額は7万5000円です。