世界で最もヒットしたクリスマス・ソングとは? ジャズの大定番曲の今昔
大定番、ジャズのクリスマス・ソングと最近の傾向
閑話休題。クリスマス・ソングの大定番と言えば、そのサンタの衣装をまとったビング・クロスビーの「ホワイト・クリスマス」だろう。最初の録音は1942年で、コーラス入りの込み入った譜面だが、1時間も掛からずあっという間に終わったという逸話が残っている。その後大ヒットし、原盤が摩耗したので若干の修正を加えた譜面で再録されたが、その差は気づきにくい。クロスビーの録音は、それだけで歴代NO1の売り上げのギネス記録をもっているが、「ホワイト・クリスマス」のトータルの記録も世界ダントツのヒット・ソングである。もっとも、クリスビー自身は、意外にもこの曲にあまりこだわりがなかったという話も残されている。いずれにしても、「ホワイト・クリスマス」は、あのサンタのポスターも含めて、トータルにスイング・ジャズ時代のアメリカを象徴するものと言えるだろう。 クリスマス・ソングと言えば、これをしのぐ大定番が、やはり「きよしこの夜」だろう。19世紀初頭に生まれたドイツのクリスマス・キャロル。讃美歌集はもとより、日本の音楽教科書にも載った正統派のクリスマス・ソングだ。ちなみにこの音符をアナグラム的に置き換えて生まれたのが坂本龍一の「戦場のメリー・クリスマス」である。どこか似ているのは、そんな理由がある。 戦後のロック、ポップス時代は、人気歌手がクリスマス・アルバムを作るのが流行したが、ジャズのクリスマス・アルバムは、ほとんどない。子供が喜ぶような「ジングル・ベル」のようなメロディーはもとより、エルビス・プレスリーが歌った「ブルー・クリスマス」のようなラブ・ソングは、ジャズに似つかわしくない。日本では山下達郎の「クリスマス・イブ」以後、たくさんのクリスマス・ソングが生まれ、聴かれているが、恋人たちのクリスマスは、もう時代じゃないかも、と最近のクリスマス傾向を教えてくれた人がいた。確かにクリスマスは、時代を反映し、微妙に変化していくものだろう。