世界で最もヒットしたクリスマス・ソングとは? ジャズの大定番曲の今昔
近年、街で聴かれるクリスマス・ソングに、その名もずばり「ザ・クリスマス・ソング」がある。メル・トーメがロバート・ウェルズと共作した1944年の曲で、アメリカではナット・キング・コールの歌がヒットしたが、むろん、トーメ自身も何度も録音している。この曲は、昔からアメリカでは定番中の定番のクリスマス・ソングだが、スタンダード・ソングのようなしっとりとした曲なので、あまり日本では有名ではなかった。それが近年、街中でよく聴かれるようになったのだ。子供でも若者でもなく、この季節の都会の大人の心の風景が映し出される。日本のクリスマスも変わりつつあると思った。ちなみにこの曲は、暑さに悩まされた真夏にふと思いついて生まれたという。共作者とその場であっという間に原型が完成したようだ。想像の中の師走の情景が、この傑作の源になった。 (文・青木和富)