「裏表のない世界」の次は…片手で着られる! 服や靴、バッグの体験会 ニッチにならず長く続けるために
表裏も前後もない服や靴下で話題になった「裏表のない世界」に続く新企画が発表されました。片手で着られることをテーマとした「one hand magic」です。新アイテムの体験・試着会を訪ねて担当者に話を聞きました。
昨年2月に「裏表のない世界」を発表
通販大手のフェリシモが2023年に立ち上げた「オールライト研究所」。 世界ゆるスポーツ協会代表理事で「マイノリティデザイン」(ライツ社)などの著書がある澤田智洋さんを「ゆる研究員」として迎え、商品開発を行っています。 昨年2月に発表された「裏表のない世界」では、裏表も前後もなく着られるトップス、パンツ、靴下の3商品を発売。 よく裏表を間違えてしまう人や、視覚障害や麻痺などがある人にも使いやすい、それでいておしゃれに着こなせるシリーズです。 これらのアイテムは2023年グッドデザイン賞を受賞しています。
新シリーズは「one hand magic」
新シリーズとして先日発売されたのが「one hand magic」。 片手で着られて自分をパッと輝かせるアイテムとして、シャツやコート、靴やバッグなど計7点が販売されています。 「片麻痺の方から『服の着脱がしにくい』『きれいめのお洋服を見つけるのが難しい』というお声をいただいたことが開発のきっかけです」 そう話すのはオールライト研究所の研究員で、フェリシモIT企画室室長の筧麻子さんです。 「片手で着られるスナップボタンシャツ」には、ボタンを留めるときにありがちな、かけ違いを防ぐ仕掛けが。 3番目のボタンの位置に刺しゅうのラインが入れてあり、合わせる時に確認できるようになっています。 「片手でも使いやすいショルダーバッグ」は、ショルダーを片手でも外しやすいように留め具(カニカン)をあえて本体側に付けるなどの工夫が施されています。
みんなにとってハッピーになれるモノづくり
オールライト研究所では、障害がある人だけでなく「自称ずぼらさん」にもヒアリング。 「何かをめんどくさい」と思っている人が、めんどくさくなくなる方法を見つける視点で企画を立てていったそうです。 11月8日と9日に都内で開催されたアイテムの体験・試着会に参加した記者は、「裏表前後ろのないきれいめパンツ」を試着。 裏表を作らず丈夫さもアップできる「折り伏せ縫い」などにもこだわりも感じましたが、パンツの前後ろを確認しないではける手軽さが一番の驚きでした。 「障害がある人〝だけ〟にお届けしようとすると、どうしてもニッチなものになってしまって、事業として継続しづらくなってしまいます。長く続けるためにも、より多くの方にお届けするためにも、みんなにとってハッピーになれるモノづくり目指しました」 体験・試着会を終えて、筧さんはこう話します。 「今回もたくさんの方から、私たちが気づかなかったお困りごとを聞かせていただきました。『本当に困った方』と『便利に使いたい方』の重なる場所が多くなるような商品やサービスを研究・開発していきたいなと思っています」 オールライト研究所では新企画も構想中とのことで、「そのままでいい、そのままがいい社会」を目指して活動を続けていくそうです。