会社に壊されない生き方(1) 会社に壊されるくらいなら会社をやめよう
連日の深夜残業や休日出勤のあげく心身を壊す正社員、低賃金なのに正社員並みの業務と責務を負わされる非正規雇用の労働者 ── 。苛酷な労働環境に陥った人々の話題が、メディアでさかんに取り上げられている。実際、周囲の人々や自らが長時間労働で疲労困ぱい、という人もいるだろう。いわば、「会社に壊される」状況がはびこる現代に、私たちは生きている。不幸を嘆いていては始まらない。逃れる方法は、どこかにあるはずだ。 会社に壊されない生き方(2)会社員時代より幸せ「ダウンシフト」という選択
脳・心筋こうそくの労災認定中、9割が月の残業80時間以上
平日夜10時ごろの東京都心部。周囲のビルを眺め回してみると、こうこうと明かりのついた窓が散見される。それら1つひとつの窓の中で働く人々が皆、時間外労働ゼロとはとうてい思えない。 残業しなければこなしきれないほどの多大な業務量、業務を担当するスタッフ数の不足、その業務を完成させるには少なすぎる時間、長時間労働を美徳とする社内の雰囲気・価値観の存在、経営層にワークライフバランスへの関心がない、上司が部下の業務量を適切にマネジメントしない、などが長時間労働の要因として考えられる。ほかにも各社個別の事情もあるだろう。 ひどい長時間労働が続くと、過労死のリスクが高まる。厚生労働省が6月24日に発表した平成27年度における労災補償状況によると、脳こうそくや心筋こうそくなどで労災認定された人の1か月の平均時間外労働は、80時間以上~100時間未満が105人(全体の41.8%・そのうち死亡者49人)、100時間以上が120人(同47.8%・死亡者40人)と、80時間以上の人で約9割を占めた。 過労死リスクを高めるのは、長時間労働だけではない。厚労省の定めた脳・心臓疾患の労災認定基準によると、不規則な勤務やなどの「勤務形態」、温度や騒音などの「作業環境」に加えて、過大なノルマ、達成困難な納期、上司や顧客とのトラブル、複雑かつ困難な新規事業の遂行などによる「精神的緊張」も判断材料となる。 過大な仕事で頭がいっぱいになり、心身ともに追い詰められると、おかしな判断をしてしまう場合だってある。今年1月、トラブルで駅に着く手前で停車していた電車から、「大事な会議に遅れる」という理由で線路に降りて駅へ向かった、という男性のエピソードが話題になった。眉をひそめつつ、実は恐怖した人も少なくなかったのではないか。「もしかして、自分も同じことをしでかさないか」と。