「400ドルのターミネーター」登場…戦争の版図を変えるAI武器(1)
5月、京畿道楊州(ヤンジュ)で開催された2024アーミータイガードローンボットフェスティバルで多目的無人車両が突撃する場面。 戦場で懸命に戦闘をしているところ、少し離れた茂みの中に敵の動きを感知した。近づいてみると、人ではなく四足歩行ロボット犬だ。取り出した超小型人工知能(AI)ドローン爆弾に位置情報を入力してボタンを押すと、ドローンは飛んで行ってロボット犬を打撃し、状況は終了した。AI技術が発展していて、こうした戦争はもう遠い未来のことではない。人類の歴史を変える核兵器を製造した罪悪感を抱くジュリアス・オッペンハイマー博士のように、自ら判断して人を殺すAIがロボットと結びついていつか人類の存亡を脅かすかもしれないというぞっとする警告だ。AIキラーロボットは本当に現実になるのだろうか。 ◆AI装着武器、戦争の未来? AIはすでに現時点で戦場で存在感を見せている。ウクライナ-ロシア戦争、イスラエル-ハマス戦争で戦争の歴史を新しく塗り替えている超小型ドローンから指揮室で司令官の決定をサポートする参謀まですべてが現実になった。 <1>野戦で:AIドローン、未来戦争 わずか12センチの超小型ドローンもAIを搭載すれば「万能武器」に変身する。もともとドローンは遠隔で人が操縦したり、GPS経路をあらかじめ入力したりして飛行するものだった。ところがAIを搭載すれば自ら地図を見て探し出し、偵察する。ここに爆弾を載せれば価格が400-500ドル(小型ドローン基準)程度の誘導弾に変身する。現在、高性能誘導爆弾(JDAM)は1個あたり3000万ウォン(約317万円)、空対地誘導ミサイル(AGM)は1億ウォンを超える。レーダーに探知されにくいため迎撃が難しく、より致命的だ。グローバルAI防衛産業会社パランティアのチョン・ユグァン国防・公共分野顧問(予備役陸軍少将)は「現在、自律武器体系が搭載された各種ドローンはまだ開始段階だが、戦争の様相を変えている」と話した。 AIで敵軍を攻撃する技術と同時に、AIから身を守る技術も発展している。例えば特殊製作ステッカーを武器や軍事施設に貼ればAI技術を搭載したドローンや無人機がこれを認識できないという技術だ。これを「敵対的攻撃(adversarial attack)」技術という。KAIST(韓国科学技術院)のキム・チャンイク電気・電子工学部教授(サイバー安保研究所長)は「今後AI攻撃と防御技術は限りなく進化していくだろう」と話した。 ウクライナは戦争でAIモデル「GISアルタ」を作戦指揮に積極的に活用している。ドローンなどで敵軍の位置を把握すればGISアルタが付近の部隊がどう敵軍に砲撃するべきかという最適経路、位置関係、射程距離などを判断して正しく知らせる。タクシー・車両呼び出し時に最適な経路を計算してマッチングする原理と似ているため「砲兵界のUber」と呼ばれている。韓国国防研究院のナム・ギホン研究委員は「(車両呼び出しのような)日常技術が軍事的に使用されたのはAI技術の国防活用において最も致命的な変化」と述べた。 <2>指揮所で:将軍の参謀 AIは戦争の勝敗を分ける高級情報を迅速に生産する。パランティアのチョン・ユグァン顧問は「AIが分析すると迅速に合理的な軍事的対応決定を下し、戦場の主導権を支配する時代がくるだろう」と述べた。 現段階で最も重要なのはAIと人の息がどれほどよく合うかだ。AI技術を搭載した車両や機械が一人で戦場で動けなくても、軍人をサポートして作戦をうまく遂行する技術がカギとなる。「有・無人複合体系(MUM-T)」または「HMT(Human Machine Teaming)」などと表現される。ハンファエアロスペースが開発する多目的無人車両「Arion-SMET」が代表的な例だ。遠隔で人が車両を操縦したり、自律走行モードで戦場で軍人に付いて回りながら必要な時に指示を受けて銃を撃ったり物資を運んだりすることができる。現代ロテムの多目的無人車両HR-シェルパも似た武器体系だ。 物資がどれほど残っているか、今後どれほど必要か、誰が必要か、AIが人の代わりに迅速に計算する。すでに韓国軍も開発を始めた。生成AIスタートアップの42マルは防衛産業庁の軍需支援AIモデル開発事業に9月から着手した。42マルのキム・ドンファン代表は「初級将校が補給物資マニュアルを一つ一つ読まなくても、人に尋ねるように簡単に習得できるよう開発する予定」と伝えた。