食べたもので蚊に刺されやすくなるって本当? 専門家がアンサー
蚊を引き寄せやすい食べ物と飲み物とは?
食べると蚊が寄ってくるという、絶対的な科学的証拠のある食品はほとんどない。そして確証がある食品でさえも、議論の余地が残されている。ポッター博士は、バナナを食べると蚊を惹きつけやすくなると話す。いっぽうウェッブ博士は、バナナが影響を与えるとは考えにくい、とある記事で述べている。 人間の体臭は食生活によって変化するけれど、2018年のある研究で、特定の食品を食べることで蚊を引き寄せる度合いが変化するかどうかを調査した結果、バナナを食べると蚊の接触が大幅に増加したのに対し、ぶどうを食べても変化は見られないことが分かったという。 さらに、蚊がアルコールを飲んだ人間に惹きつけられることが、いくつかの研究で示唆されている。ポッター博士によると、これは飲酒によって皮膚が温まり、匂いが強くなるためだそう。「発熱している人、運動している人、妊娠している人など、体温の上昇は蚊にとって魅力度アップを意味します」と彼は話す。
蚊を寄せ付けない食べ物や飲み物はある?
蚊を避けたい一心で、外出前ににんにくたっぷりの料理を食べたことがある人もいるかもしれない。しかし、ガーリックブレッドやガーリックマッシュポテトをどれだけおかわりしても、蚊除け効果は期待できない。(きつい口臭もほとんど役に立たないはず。) にんにくとたまねぎを食べれば蚊が寄ってきにくくなると考えられていた時代もありましたが、これは真実ではないことが分かっています、とポッター博士。ウェッブ博士は、科学者によって否定されたもう一つの迷信に、ビタミンBが蚊を寄せ付けないというものもあります、と補足する。 「残念ながら、私たちが食べたり飲んだりするもので、蚊に刺されるのを完全に防ぐという科学的証拠があるものはありません」とウェッブ博士。「にんにくやバナナのような食べ物に蚊除け効果があるという都市伝説がありますが、実際はとくに変わらないでしょう」
蚊を寄せ付けないベストな方法
蚊に刺されないようにするために、ウェッブ博士は薄い色のゆったりした服を着て靴で足元を覆うのが一番だと話す。露出している部分には、虫除けスプレーを使おう。 そしてもちろん、頭からつま先までカバーしたくない場合は、防虫剤に頼ることになる。「ジエチルトルアミド(通称ディート)は、安全で効果が強く安価の蚊除け手段として、世界中の保健機関が推奨する種類の一つです」と説明するウェッブ博士。 より自然な商品を探しているなら、ポッター博士はレモンユーカリとレモングラスのエッセンシャルオイルを勧めている。博士は現在、植物由来のどの商品がもっとも蚊除けに効果があるか調べているという。蚊取り線香や蚊とり器も効果がありますが、これらはほかの方法と組み合わせて使うべきでしょう、とウェッブ博士は話す。
translation : Mutsumi Matsunobu cooperation : Yumi Kawamura photo : Getty Images