静寂の全英テニスで選手を悩ませる観客のタメ息とうなり声と、その対応策
テニスの4大大会である全英オープン・ウィンブルドン選手権が開幕した。錦織圭は1回戦を3-0のストレートで突破した。ロンドンの「オールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ」で開催されるウィンブルドンは格式と伝統ある大会だ。しかし、その象徴である芝と会場の静寂ゆえに、観客のため息やうなり声が選手の耳に入りやすく、その対応に悩まされることもあるという。 米ニューヨークタイムズ紙は「ウィンブルドンの静寂のあまり、観衆のうなり声がいらだちにつながる」というタイトルをつけた記事で、この問題に切り込んだ。 「世界トップの選手たちはウィンブルドンの静けさに特別に感謝しているわけではない。それはウィンブルドンのうなり声のためだ」 なぜ、ウィンブルドンでは、選手にとって観客の声が耳障りとなるのか。 「ア~。ダブルフォルトや単純なミスの後、観衆が不満の声をもらす。地元の選手であったり、重要な場面であったりすると、その声はより大きく、はっきり聞こえるようだ。観客の声はウィンブルドンに限ったことではない。しかし、全米オープンと比較すると、ウィンブルドンはプレーが始まる前は静かであり、芝がボールがバウンドする音を吸収する。そういうところでア~が来ると逃れられないのだ」と、ウィンブルドンの静寂が、観客のちょっとしたため息が聞こえやすくなると述べている。 アンディ・マレーの元コーチであるマイルス・マクラガンは、同紙の取材に対して、「不満のようなうなり声は、コートの選手に孤独を感じさせる」とコメントした。 また、米スポーツ専門局ESPNのテニス解説者で元女子プロテニス選手のパム・シュライバーは、現役時代のウィンブルドンでのプレーについて、「うなり声はたくさん聞いた。センターコートにいるときに、あれを聞くときまりの悪い思いをする」と証言した。 シュライバーは、対策として気持ちの持ち方を変えたという。 「私は、あの声は、私を応援していてくれている、また、頑張れと言っているのだと思うようにしていた。でも、2度続けて聞くのは、とても嫌だった」